再生ごみ袋がもつ可能性について資源循環のプロフェッショナルである三者が語りつくす。今回、ストレッチフィルムを原料にした再生袋について、ごみ袋を製造する大阪和田化学工業・中尾栄志常務取締役、再生ごみ袋のユーザーである白井エコセンター・滝口千明取締役、ストレッチフィルムの再生ペレットを供給する亜星商事・山下強代表取締役の三氏に、様々な観点から語ってもらった。
●2020年のレジ袋の有料化がかなりの打撃だったのでは?
中尾:かなりの影響がありました。以前は当社でもコンビニやスーパーのレジ袋を手掛けていましたが、海外から安いものが入ってきたとき、全部輸入品に切り替えられました。国内産のレジ袋は土産物屋さんとか本屋さんとか、割とロットの小さいものに限られていました。それもレジ袋の有料化で全部に含まれてしまって…。本屋さんの小判抜きの袋なんかも、ほぼなくなりました。紙袋になってしまったのです。
滝口:大手の某古本屋はレジ袋を50円で売っています。インドネシアあたりで作っているらしいですけど、基本的にはもう売りたくないんです。使いたくない。だからお客さんが買わないような値段をあえて設定しています。
●それなりの値段で売れないと、再生材の袋の環境価値も高まってきません。
中尾:これまでも九州の自治体で、ボランティアのごみ袋をつくったことがあるのです。ただ、自治体の家庭用の指定ごみ袋だと、入札が多いため、安ければいいとなってしまう。だから海外から輸入されたものが大半です。入札がないところで、まずは広めていきたいと思います。
今では再生材の方が、存在感があります。再生材を使うことに意味があって、ストーリーがあるからです。ポリエチレンの業界では、昔は「再生品は安い」っていうイメージが定着していました。ですので、ポリエチレンの素材を知ってる人ほど、安いものをと言ってきますが、今は違うよと言っています。
●汎用品は輸入品に価格競争力で劣るということでしょうか。
中尾:そうです。採算が合わないし、輸入品に太刀打ちできない。有料化になったとき、当社の全体の売上は20%くらい減りましたね。レジ袋の部門だけでみたら8割減です。食品向けのシートなどもやっていますから、全体売上から見たら2割ちょっと減くらいで済みましたけども。
…
この記事は有料会員記事です
▼残りの88%を読むには、会員登録が必要です▼
この記事は有料サービスをご契約の方がご覧になれます。
契約されている方は、下記からログインを、
契約されていない方は無料トライアルをご利用ください。
2024年04月15日【直富商事・第3工場】長野市内で初のRPF製造工場(年間3千トン)を稼働AI搭載のアーム・選別機導入、省人化の次世代型工場に
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2024年04月15日【マツダ】廃プラと古紙で相乗効果、今年5月に1ライン増設事業系ごみ袋でクローズド実現、革新的事業も模索中
2022年08月30日【容リPET 2022年度下期速報】PETボトルの落札平均価格が115円/kgにバージン市況軟化の中、過去最高値を更新 FREE
2024年04月15日【ExtraBold】3Dプリンタを軸とした新たなプラ資源循環コンパクトでシステム化した新型機を普及へ
2024年04月15日 コラム
ファーストペンギンという言葉がある。常に集団で行動するペンギンの中で、天敵がいるかもしれない海に向かって、真っ[...]
2024年04月08日 コラム
紅麹を含むサプリメントが健康被害を引き起こし、騒動となっている。この「機能性表示食品」というのは、2015年に[...]
2024年03月25日 コラム
先日、直富商事(本社・長野市)が新設した第三工場を取材した。混合廃棄物の中間処理施設で、この分野では日本で初め[...]
2024年03月18日 コラム
サーキュラーペット津山工場の竣工式(3月14日)に、サンドリン・ムシェ在京都フランス総領事が来賓として招かれ挨[...]