廃タイヤを前処理なしでリサイクルして、カーボンブラック(工業的に製造される炭素の微粒子)に再生・販売するリサイクルベンチャー企業が現れた。その名もサムライカーボンズ(神奈川県横浜市港北区、星山崇行取締役会長)で、茨城CE第一工場(茨城県下妻市半谷字中原久)が竣工し、去る7月29日、関係者を招いて落成式を行った。8月から稼働している。同工場内プラントの処理能力は使用済みタイヤ10.8トン/日。熱分解によって再生カーボンブラック、再生油、鉄スクラップを回収する。併せて開発したプラントも外部へ販売していく計画で、当初は全国43ヵ所への販売目標を掲げている。
サムライカーボンズは、フロアコーティングの専門会社として1991年に創業した㈱エコテック(神奈川県横浜市、星山崇行代表取締役)を中心に、メンテナンス会社を含め3社で構成する「エコテラスグループ」(星山崇行代表、グループ社員数約60人、全国施工代理店含め約200人の組織)が母体。本業とは異なるリサイクルという事業領域へ参入するにあたりサムライカーボンズを新設した。原料である使用済みタイヤを有価で購入・再生するビジネスプランで、廃タイヤリサイクルを主力事業の一つとして行う。
工場が所在する敷地はエコテラスグループ所有の土地。工場建屋(720平方メートル)とストックヤード、付帯設備を含め全体の総面積は約1500平方メートル。建屋建設も含め工場建設の投資金額は約6億円。「省CO2型プラスチック高度リサイクル設備導入事業」として、公益財団法人廃棄物・3R研究財団からの補助金(1億円以上)を受けた。
同社のプラントは「乾留式熱分解システム」(DDPS:Dry Distillation Pyrolysis System)で、密閉式のカートリッジ容器(5200リットル:2600リットル×2基)内に使用済みの廃タイヤを前処理せずにそのまま投入し、約300~400℃で3~4時間過熱処理する。外気を遮断して加熱分解することで、揮発成分と不揮発成分とに分けた(乾留)後、分離された炭化物をカーボンブラックの原料として回収。発生するガスは冷却して凝縮させ油にする。
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