2026年6月10日 PJコラム 

【コラム】
お隣さん文化の復権を

PJコラム

 自治体の指定ごみ袋が品薄となって、市販の無色または半透明のごみ袋での排出を認める自治体が増えているという。指定ごみ袋が枯渇するのではないかとの不安から、一種のパニック買いが発生し、店頭から姿を消したためだ。しかし今度は、その代替となる無色・半透明のごみ袋まで買い占めが起きているという。一定期間は、ごみ処理費が上乗せされていない袋でも排出できることから、お得感に気づいた消費者心理も働いているのだろう。自然災害時には助け合い、物資を分け合う国民性を持つ日本だが、ここまでくると少々寂しい気持ちにもなる。

 ▼同じような現象は民間事業者の間でも起きている。廃プラや廃PETボトルを中間処理後に梱包するPPバンドやフィルムが不足するとの観測が一時広がった。すると、「念のため」と買い増しに走る動きが相次ぎ、通常は2~3カ月分しか保有しない在庫を年末まで確保したと語る経営者もいる。資材がなくなれば出荷が滞り、工場の稼働にも影響するとの不安は理解できるが、それによって生産や業績が上向くわけではない。結果として、需給の逼迫が資材価格を必要以上に押し上げてしまう弊害も生じる。

 ▼かつて日本には、ご近所同士で醤油を貸し借りしたり、作り過ぎたお惣菜をお裾分けしたりする文化があった。困ったときは互いに助け合い、不足を補い合う知恵である。個人でも企業でも、必要以上に抱え込むのではなく、融通し合いながら乗り越えることはできないものか。ごみの排出量そのものは急増するわけではない。それでも買い溜めが起きるのは、不安が不安を呼ぶからだろう。隣に困る人や企業がいるかもしれないーーそう想像するだけでも、私たちの行動は少し変わるのではないだろうか。

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