2026年7月8日 PJコラム 

【コラム】
奈良の企業にみる「人づくり」の底力

PJコラム

 私の地元の奈良県は「人材輩出県」とも言われる。教育熱心な土地柄で大学進学率は高いものの、本社を置く上場企業はわずか8社にとどまり、若者が地元で活躍できる選択肢が限られる。大学進学を機に県外へ出たまま戻らない構図は長年続き、人口減少や高齢化に拍車をかけている。自然や歴史に恵まれ、暮らしやすい地域だけに、魅力ある産業と雇用をどう育てるかが奈良の将来を左右する大きなテーマだろう。

▼そんな折、奈良県内で再生プラ製品を製造する2社を取材した。1社は宇陀化成工業㈱。再生材を原料にごみ袋やフィルムなどの産業資材を製造するメーカーである。再生材の価値を起点にした価格設定、用途に応じた絶妙なブレンド技術、無駄を徹底的に排した生産オペレーションなど、長年培ったノウハウの厚みに圧倒された。もう1社の㈱ワカクサは、容リ材を使った物流パレットを製造する企業。自動車や家電向け成形品で培った高い加工技術を生かし、「容リ材なのにきれい」と評価される高品質な製品づくりを実現している。

▼両社に共通して印象深かったのは、設備投資以上に「人づくり」に力を注いでいることだった。宇陀化成工業は、品質はオペレーターの技能で決まるとの考えから、スキルマップで技能を見える化し、どの工程も新人任せにしない体制を築いている。ワカクサも新卒やインターンシップ採用を積み重ね、平均年齢は35~36歳。「教育」ではなく「共育」を掲げ、社員が主体的に改善する組織づくりを進めていた。人口減が続く地方だからこそ、人を育てる企業が地域の未来をつくる。奈良のものづくりの底力と可能性を改めて実感した。

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