
2015年12月中旬に中国・山東省を訪問した時、初めて中国の大気汚染の凄まじさを目の当たりにした。この時はアプライズのアテンドにより、中国で廃ペットボトルから長繊維製品を生産している龍福社の視察が目的。龍福社は中国のPETボトルリサイクルの3大メーカー(龍福・大発・江南)の1社で、当時は年産20万トンの生産能力だった。
北京空港から高速鉄道に1時間半ほど乗り、山東省の済南駅に降り立った。駅から1歩外に出ると、そこは一面に霧が覆っていた。「すぐにこのマスクを付けてください」と言われる。普通のマスクを3枚くらい重ねたようなマスクで、付けているだけで息苦しい。外を歩いている人を見ると、ガスマスクのようなものを付けている人も多い。「これはPM2.5です。12月は特に発生が多いです」。PM2.5は微小粒子状物質と言われ、呼吸器や循環器疾患、及び肺がんの増悪因子とされている。石油や石炭の燃焼による人為由来の物質であり、髪の毛の30分の1ほどの大きさである。日本でも九州等では、中国大陸から海を越えた越境被害が深刻化していた時期だった。
結局、山東省に2日間滞在したが、北京に戻った後に体の調子が悪くなった。耳の奥に大きな痛みを感じて眠れないほどだった。心配になって日本に帰ってから精密検査を受けたが大きな問題はなく、1週間ほどで痛みはなくなっていった。
その2年後の2018年1月から、中国では環境保護税法が施行された。企業が排出した大気汚染物、水質汚染物、固形廃棄物、騒音に対し、排出量に応じて課税される仕組みである。また環境基準を満たさない企業に対しては、罰金や工場の操業停止や閉鎖の措置が取られ、2017年だけで7,842件の罰則が適用された。環境規制に本腰を入れて取り組んだ結果、大幅に大気汚染は改善された。「2018年に初めて龍福の工場から青空を見た」と話す。
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