2026年2月18日 PJコラム 

【コラム】
リサイクル業界にも訪れるAIの波

PJコラム

 かつては遠い未来の技術に感じられたAIも、今ではスマホの検索アシスタントはもちろん、SNSのレコメンド機能や、ChatGPTの活用など、私たちの生活に自然と溶け込みつつある。この波はリサイクル業界にも確実に押し寄せており、特に人手不足が深刻化する現場作業において、AIは単なる補助ツール以上の役割を担い始めた。従来、廃棄物の複雑な選別作業は熟練作業員の「目」と「経験」に頼らざるを得なかったが、最新のAI搭載ロボットは、疲労を知らずに24時間365日、一定の精度で稼働し続ける。人間には不可能な物量と速度で資源を仕分け、処理効率を劇的に向上させ、リサイクル工場のあり方を根本から変えようとしている。

▼具体的な導入事例も枚挙に暇がない。例えば、産廃の中間処理などを展開するウム・ヴェルト㈱では、飲料容器の高度な自動選別を実現する生成AI搭載ロボットを導入する予定で、熟練作業員に匹敵する選別動作を可能にする。また、廃棄物をスマホで写真撮影するだけで、瞬時に分別方法を提示してくれるゴミ分別アプリ「Trash Lens」や、画像認識技術によって火炎の兆候を検知し、アラート発報、散水までを自動で行うAI火花検知システム「SparkEye」など、その応用範囲は選別の自動化から安全管理にまで広がっている。建築業界のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のように、AIが一元管理し、建物のデザイン、構造計算、積算までも自動化する流れは、もはや避けることのできない時代の必然といえるだろう。

▼しかし、技術の進化がもたらす光の裏には、看過できない影も忍び寄る。若手社員を中心に「AIに答えを委ねること」が常態化し、自ら深く思考し、真偽を確かめるプロセスが欠落しつつあるという。リサイクルの現場には、まだAIでは代替しきれない「現場特有のリスク」や「臨機応変な判断」が求められる場面が確実に存在する。潜在的なリスク管理から意思決定までシステム任せにすることが果たして進化といえるのか。リサイクル業界でも少しずつ省人化が進み、人が汗をかかずに済む時代だからこそ、私たちは「AIに使われる」のではなく、技術を使いこなすための「考える力」を改めて研ぎ澄まさなければならない。

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