工場外観
㈱グーン(本社=神奈川県横浜市金沢区、藤枝慎治代表取締役)は、使用済みプラスチックからプラスチック再生原料を製造するマテリアルリサイクル事業を開始した。約3億5000万円を投じ、本社工場(横浜市金沢区鳥浜町)に破砕、光学選別、レーザーフィルター搭載のペレタイザーなど設備一式を整えた。再生ペレット製造能力は1日あたり最大10.78トン。11月上旬に設置許可を取得後、ほどなくして産廃業変更申請が受理され、試運転をスタートさせた。横浜市内でも産廃業許可を取得して、廃プラから再生ペレットを生産するのは同社が初めて。同社は11月28日、同事業開始のセレモニーを催し、新しい工場設備を環境省や県・市の関係者に披露した。
グーンはこれまでに木屑と廃プラのフラフ化によるサーマル燃料の製造で実績を積んできた。プラ新法施行や、プライム市場上場企業に対する気候変動リスク開示義務などが影響し、同社の取引先も環境問題への対応に迫られている。そうした企業からは廃棄物の処理時にも、CO2を排出抑制したいという要望が多く寄せられるようになった。同社としては産廃処理業者として廃プラをサーマルリサイクルで適正処理するだけでなく、マテリアルリサイクル再生利用する選択肢を備えておく必要に迫られた。
同社の本社工場は横浜市金沢区の産業団地・金沢団地協同組合の一角に位置し、敷地の一部は国道357号線(東京湾岸道路)に面している。敷地面積は8925平方メートル、工場棟、事務所棟、ポンプ室を合わせた建物が建つ面積は5353平方メートル。同敷地内にマテリアルリサイクルの新たな設備を配置した。また本社工場内にはフラフ燃料とRPF生産設備、木材チップ生産設備がある。許可上の1日あたりの生産能力は再生ペレットが10トン、フラフ燃料が200トン、RPFが50トン、木材チップは340トン。
フラフ燃料
実際には燃料フラフは1日70トン程度、年間で約2万トンを生産している。フラフ燃料は王子製紙など製紙メーカー向け。500キログラム前後のベール品にして出荷する。1回に約1回で500~600トンを工場近くの金沢木材埠頭から海上輸送で運搬するほか、陸送も行う。RPFは一時生産を休止していたが、現在は1日あたり約10トンを生産している。
今回新設した廃プラ処理設備は、破砕機、電磁式金属選別機、ライン上の原料を平均して並べる振動フィーダー、ペレタイズする原料だけを選別、抽出する光学選別機、ホットカット式ペレタイザーである。
リサイクルフローは以下の通り。入口に仮置きした廃プラを重機で投入口から投入。手選別コンベアで材料の中に夾雑物がないかを確認する。破砕機で廃プラを15センチ前後に破砕、コンベアで搬送。次に電磁式磁力選別機で金属を取り除いた後、フィーダーで材料を均一に並べ、ペレンクST社の光学式選別機にかける。光学式選別機では原料につかう樹脂を選別する。ここでHDPE、LDPE、LLDPEなど10種類程度の樹脂に分けられる。この光学選別に適したサイズが15センチだという。
…
この記事は有料会員記事です
▼残りの67%を読むには、会員登録が必要です▼
この記事は有料サービスをご契約の方がご覧になれます。
契約されている方は、下記からログインを、
契約されていない方は無料トライアルをご利用ください。
2023年05月29日【ケミカルリサイクル】
2023年に4つのプロジェクトが始動予定
アールプラスジャパンは参画企業40社に
2022年08月30日【容リ下期速報】
PETボトルの落札平均価格が115円/kgに
バージン市況軟化の中、過去最高値を更新 FREE
2023年05月24日【全国容器循環協議会】
飲料容器等の中間処理業者ら
29社が加盟し、全国組織化へ
2023年05月22日【東京23区】
足立区が2024年度よりモデル地区で一括回収へ
板橋区も同年から全域実施、残すは世田谷区のみに
2023年05月17日【SuMPOと4社】
プラスチックのリサイクラーらが連携協定
日本版の再生プラの認定・認証制度を模索
2023年05月29日 コラム
清涼飲料容器の主力がPETボトルに変わったのは2000年以降のことである。子供の頃は、駄菓子屋で買ったびんを返[...]
2023年05月22日 コラム
アフターコロナのアクリル板廃棄ラッシュに、リサイクルの対応は素早かったように思う。動きとしては3つあった。①三[...]
2023年04月25日 コラム
「鎌倉の大仏」と「太陽の塔」に共通する点といえばご存じだろうか?! 正解は、意外なところにプラスチックが使われ[...]
2023年04月17日 コラム
「ディープピンク」、和名で言うと「躑躅(つつじ)色」というのか、派手な色の自転車に乗っている。数年前その自転車[...]