2024 年5 月22 日、再資源化事業等高度化法(資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律)が参議院で可決され、5 月29 日に公布された。これにより、一定以上の産業廃棄物を処理する特定事業者に処理量などの報告が義務付けられるとともに、その他産廃処理業者にも再資源化事業の高度化が努力義務として課せられる。
また、民間企業のリサイクルを後押しする仕組みとして、国による事業計画の認定制度が新設された。認定を受けた企業は、従来の地方自治体による廃棄物の収集運搬や処理施設の許認可が免除される。この再資源化事業等高度化法の国会審議にあたって、大学教授らとともに参考人として招聘されたのが加藤商事㈱(本社:東京都東村山市)の代表取締役である加藤宣行氏だ。全産連(公益社団法人 全国産業資源循環連合会)青年部協議会の第三代会長を務め、現在は一般社団法人日本環境保全協会の副会長も務める。
参考人として、なぜ加藤氏に白羽の矢が立ったのか?どのような人物なのか?新法の再資源化事業等高度化法は、廃棄物処理業者にどのような影響を与え、リサイクル業界はどのように変わるのか。加藤氏の経歴や経営者としての顔にも焦点を当て、詳しく話を伺った。
―本日はよろしくお願いします。まずは加藤社長ご自身のご経歴と、家業である加藤商事に入社した経緯についてお聞かせください。
加藤宣行氏(以下、加藤):入社したのは1991年。もともと僕は他の道を歩もうと思っていたんです。だから家業を継ごうと考えたことはなかったのですが、当時、父亡き後母が会社を経営していて、兄が医学の道に進んだこともあって、僕に「戻ってきて欲しい」と声がかかりました。それが入社の経緯です。その後、仕事をしながら青年会議所に入会し様々な人と出会いそこで政治に興味が湧きました。一時は、国会議員になりたいと考えた事もありました。
―もともと国会議員になりたかったというのには、どんな理由があったのですか?
加藤:人のために何かしたいと思ったのと、今で言うクリアな世の中にしたいと考えていました。それは今でも僕の夢ですね。青年会議所では政治の勉強会もありましたし、麻生副総裁を始め、多くの議員が青年会議所の出身でした。そうした諸先輩方の影響もあり、チャンスがあれば選挙に出たいと思っていました。
でも、実際会社で仕事の追われるようになり、まずは、自分の会社を成長させてからだと思いました。今となっては仕事にやりがいを感じていますので出馬しなくてよかったと思っていますが、昨今のニュースを見るとムズムズしますね。
そうしたなかでもとりわけ良くないのが、廃棄物処理業が社会的にあまりにも下に見られてしまうこと。僕は自分の人生を賭けてこの仕事をしているので、そうした風潮は変えたいですし、「このまま終わりたくない」と感じています。
―2003年の社長就任後、2009年には全産連の青年部協議会の会長にも就任されました。
加藤:会長職に就かせていただいたことが、この業界に対する僕の想いを環境への取り組みを通じて具現化する契機になりました。
今と比べると、2009年当時は地球温暖化に対する人々の意識がまだまだ低かった時代です。当時起きたツバル諸島の海水面上昇がニュースなどで大きく取り上げられていたものの、社会全体としては「CO2って何?」という雰囲気でした。
そうしたなか全産連青年部協議会の会長になったことで、環境省の谷津龍太郎さん(2008年リサイクル対策部長、2013年環境事務次官に就任)、国立環境研究所の江守正多さん(東京大学気候システム研究センター客員准教授)といった方々とご縁が生まれ、廃棄物処理業と行政、研究機関との距離を縮めていただけたと思います。
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