
韓国・釜山で開催されたプラスチック条約交渉会議。会場には各国の文化を映し、パナマハットを被る人やインドネシアの民族衣装をまとった人など、装いも多彩だった。野心的な条約を求める一団は、「CAP」(上限規制を意味する)と書いたキャップを被り、目を惹いた。そんな中でも、悪目立ちしていたのがピンクのネクタイを締めたサウジアラビア代表。延々と反対意見を述べる姿は、多くの参加者にも記憶に残ったことだろう。
▼サウジアラビアはアラブグループの産油国を代表する立場でも発言。同国は国家戦略「ビジョン2030」の中で、プラスチックやゴムといった石油化学製品を成長産業と位置づける。原油需要が自動車のEV化などで縮小することが予想されるため、原油依存を減らし産業構造を転換する必要に迫られている。プラスチック製品は、この新たな産業の柱として期待されており、輸出を強化するとともに工場建設も進めている。生産規制に敏感に反応する背景には、こうしたお国事情があるためだ。
▼会議では目標としていた年内の合意には至らなかったが、参加国が安易に妥協せず、野心的な条約を目指す一定のコンセンサスが得られたことは収穫だった。次回の再開会合で合意に向かうためには、産油国を説得し、切り崩せるかがカギとなる。プラスチックは大量生産・大量消費によって供給過剰となり、環境や健康へ被害をもたらしている。安価すぎる製品の価値を見直し、世界全体で本当に必要な量だけを生産する仕組みを構築することが、持続可能な未来に向けた落としどころになる。
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