2024年12月23日 PJコラム 

【コラム】大手流通・小売企業に期待される価値の転換

PJコラム

 ひと昔前は、大手流通・小売企業が廃棄物や資源物で収益を得る発想はほとんどなかった。しかし今では、各店舗で出る資源物を売払いし、自前でリサイクルセンターを運営したり、クローズドのリサイクルシステムを築いたりする動きが目立つ。先日も、某大手小売チェーンの廃棄物管理会社から、「今後の自社による廃棄物管理業務についてのアイデアが欲しい」と助言を求められた。流通・販売の過程で出た廃棄物のみならず、販売した製品も資源として循環させなければならない時代が来ている。

 ▼とは言え、企業としては、利益を追求することが先か、資源として循環させることが先か。いくら環境に良いと言っても、資源の循環コストが利益を損なってしまうようでは二の足を踏む。そこでコストを捻出するために、資源として有価物として回し、製品の環境価値を高めていくことが重要になる。今まで以上に資源循環が進み、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入などが進んでいけば、環境に対する副次効果も大きくなる。

 ▼一方、リサイクル事業者からみれば、価値ある資源物しか集めず、廃棄物は低コストで処理することが鉄則だった。現状、廃プラスチックの中で有価物として取引される資源物は単一素材など一部に限られ、産廃としてサーマルリサイクルされるものがまだまだ多い。ケミカルリサイクルのような新たなリサイクル技術の普及は、産廃から有価の廃プラを掘り起こす契機になっていく。それを大手流通・小売企業が製品価値の向上につなげていけるかに掛かっているだろう。

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