
廃棄物・リサイクル業界は、多数の中小企業が地域に根ざして事業を展開する分散型市場であったが、再編の動きからも目が離せなくなっている。実際、静脈産業の中には株式上場を果たす企業も現れ、M&Aやグループ化を通じた企業体も複数出てきている。読者の関心も高く、こうした動きはメディアにとってキラーコンテンツとも言えるだろう。
▼もともと、廃棄物業界は許認可を背景にした地域ごとの縄張り構造が色濃く残っていた。しかし、近年はこの構図にも変化の兆しが見え始めてきた。背景にあるのは、グローバル化に伴う排出事業者のニーズの変化や、ESG・サステナビリティへの対応といった社会的要請である。こうした要素が、業界再編や企業統合の機運を高めているといえるだろう。
▼M&Aは「時間を買う投資」とも表現される。ゼロからの起業や事業の立ち上げに比べ、すでに設備や人材、収益基盤を持つ企業を取得することで、事業展開を一気に進められる。特に廃棄物処理業は、法規制のもとで許可業種や設備仕様が明確に定められており、資産査定(デューデリジェンス)や引き継ぎのフォーマットを比較的整えやすい分野でもある。
▼しかし、企業は有機体であり、単に資産を取得するだけでは経営は成り立たない。従業員、顧客、地域との関係性を含めた「目に見えない資産」をどう引き継ぎ、活かすかが重要だ。「経営者の器を超えて会社は成長しない」という言葉があるように、M&Aの成否は買収側の経営力にかかっている。資本だけでなく、人材マネジメントや現場理解といった経営の地力が、成功の鍵を握っている。
2025年12月01日【中華系リサイクラー4社に聞く】中国の廃プラ輸入禁止を経て、事業方針を転換日本で拓くプラスチックリサイクルの可能性
2025年12月01日【岡田商事】家電由来のMIXプラを月間2,000t受け入れペレット化独自の高度選別技術を磨き、大半を中国へ安定輸出
2025年11月24日【萩原工業】リサイクルプラスチックの粘度を均一化する技術を開発三井化学と連携し、設備の製造・販売を開始
2025年12月01日【廃プラ・再生製品の輸出入動向】アジア輸入規制がもたらす今後の国際循環と対応策
2024年01月26日【シタラ興産】埼玉で一廃・産廃焼却施設に122億円投資2027年に稼働予定、年間1万5000MWの発電も
2025年12月01日 コラム
改正資源有効利用促進法(資源化法)で自主目標と定期報告の対象となるプラスチックは、自動車・家電・容器包装の3品[...]
2025年11月25日 コラム
去る11月6日、(一社)日本RPF工業会が開催する「第9回 安全大会」を取材した。RPF製造工場で起こりがちな[...]
2025年11月03日 コラム
慢性的な人材不足に陥っている現在の日本。業界内で言っても、特に中間処理施設をはじめとするリサイクル企業は、3K[...]
2025年10月27日 コラム
来年度の容リ入札制度の見直し方針が示された。検討会は計2回開かれ、安定枠の廃止や上限価格の適正化など、概ね材料[...]