一般社団法人日本RPF工業会は6月16日、明治記念館において第10回総会を開催した。対面式での総会開催は3年ぶりで、オンラインとのハイブリッド形式で行われた。全ての議案が承認されるとともに、理事改選を行い、新会長に三輪陽通氏(三光㈱取締役会長)が選出された。3期6年にわたって会長を務めた長田和志氏(日本ウエスト㈱代表取締役)は、名誉会長に就いた。新理事は右下表のとおり。
同工業会は、2003年設立の任意団体である日本RPF工業会を発展的に解消し、2012年に一般社団法人日本RPF工業会として設立。今年で発足から10年を迎えていた。会員企業は、2012年当時は61社だったのが、現在127社まで増加。加盟企業は、RPF製造事業者の他、製紙メーカー、商社、機械メーカーなど。会員数の増加は、石炭代替燃料の固形燃料であるRPFの裾野の拡がりを物語っている。
総会には、来賓として衆議院議員の稲田朋美氏と赤澤亮正氏も駆けつけ、祝辞を述べた。総会終了後には講演会を催し、環境省の廃棄物規制課長の神谷洋一氏が地球温暖化対策推進法の改正やRPF外観目視検査のデジタル化について講演。続いて、日本製紙連合会の技術環境部の河崎雅行氏が「紙パルプ産業のエネルギー事情」をテーマに講演した。
日本RPF工業会の会長は任期が2年で、第1期を関勝四郎氏(㈱関商店)、第2期を加藤信孝氏(㈱エコ・クリーン)、第3~5期を長田和志氏が務めた。RPFを取り巻く環境は、石炭代替燃料の需要増から中国の廃プラ輸入禁止やカーボンニュートラル目標、プラスチック資源循環法の制定の影響を受けて、大きく様変わりした。こうした中、RPFの生産量予測は同工業会の推計によると、2021年度に154万トンと2013年度の110万トンから44万トンも伸びている。
総会に先立ち、長田前会長は、「今年4月に2つの法律が施行・改訂された。1つは私どものRPF原料であるプラスチック資源循環法。この新法は容器包装、家電、自動車など7番目のリサイクル法になる。他のリサイクル法との違いは、製品に対してリサイクルを促したものではなく、今回はプラスチックという素材に対しての法律である。3R+リニューアルブルを求めたもので、プラスチックは種類も多く、あらゆる産業から排出され、排出量もさまざま。このような特性をもつプラスチックを再資源化するにあたり重要なことは、ブランドオーナーやサプライチェーンの環にリサイクラーが参加し、循環型のループを形成すること。その上で、地球規模の観点から環境、社会、経済、持続可能なものへアップサイクルすることだと考える。
2つ目は地球温暖化対策推進法の改訂。2050年のカーボンニュートラルを目指し、EV車の普及や再エネの導入など、GHG排出を抑制するものである。多くの企業はGHGの排出情報の報告情報や脱炭素経営へのシフトチェンジが求められる。RPFも脱石炭の代替として、ケミカル資源としてますますニーズが高まっている。国際規格のISO/TC300では、SRF(Solid Recovery Fuel)もしくはSRM(Solid Recovered Material)と称されている。この2つの法律が求めるものは、化石資源をできるだけ使わず、バイオマスなど新しい資源を活用すること。また排出されたプラスチックを大切な資源と考え、日本全国で眠っている資源を工業会の新たな青年部の若きネットワークを利用し、かき集めて最後の一滴まで循環活用することだと考えている」と挨拶した。
また退任の挨拶として、長田前会長は「3期6年にわたり会員の協力のもと務めさせて頂いた。1期目に関しては事故・火災が多かった。その関係で安全衛生に注力し、RPFの品質向上についても主力として活動した。2期目は外国人技能実習制度の職種認定の追加に向けて、国立環境研究所の河井紘輔先生を招いてキックオフミーティングを設けた。驚異的な2年半というスピードかつ、コンサルタントを入れず手弁当で2021年1月に職種認定を受けた。既に海外から数名来ており、どんどん追加していると聞いている。これも海外展開の足掛けになればと考えている。3期目はプラ新法でたいへんあくせくした。総務広報の田墨委員長をはじめとして、業界の立ち位置、どういう風にお役に立てるのか、関係省庁に陳情した。これからプラスチックの再資源化はもとよりGX(グリーントランスフォーメーション)が急速に拡大していくと思われる。三輪新会長を筆頭に新しい幹事、青年部、委員会活動で鋭意努力して頂けるものと思われる。新しい岡事務局長とともにパワーアップしていだけるものと信じている」と括った。
三輪新会長は就任の挨拶として、「この6年間、長田会長の活躍を間近で見てきた。まず技能実習生に登録されたことが大きな柱。その他に用途開発、ロビー活動も真剣にやってこられた。分科会もそれぞれが機能している。中興の祖といわれるほどのご活躍だった。基本的には前会長がやられたことを踏襲しながら、さらに発展していくよう私なりに精一杯やらせていただく。至らない点が多いと思うが、会員の皆様の協力をいただき、関係所管の方のご理解もいただきながら、精一杯やっていきたいと思うので、どうかよろしくお願いしたい」と述べた。
※国立環境研究所の河井紘輔先生の氏名表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(2022年6月27日12:43修正)
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