廃プラを使った固形燃料であるRPF製造が2021年1月、外国人技能実習制度で職種認定を受けていたが、今年3月以来、入国制限が解除されて続々と実習生の受入れが始まっている。6月中旬までに3社で計11名の技能実習生が登録されている。廃棄物関連業種の中でもRPF製造は初の認定を受けた業種だ。労働集約型の産業で将来的な人手不足が懸念される中、またアジア進出の機会を狙う企業にとっても同制度の活用が注目されている。今回、エコネコルの本社工場を訪問し、技能実習生の就労実態とRPF事業の展望を取材した。
RPF製造業が職種認定を受けてから約1年半。既に採用を決めていた受入れ企業もコロナ禍での入国制限のために実習生が日本に入国できなかった。3月末にまん延防止策の解除に伴い、政府は1日あたりの入国上限人数を3月1日から5000人、3月14日から7000人、4月10日から1万人、6月1日から2万人と段階的に引き上げた。コロナ前の約14万人にはほど遠いが、入国待ちだった実習生が少しずつ入り始めた。
6月23日時点で、受入れを始めたのは3社。エコネコル(静岡県富士宮市)でベトナム人3名の他、複数社で計11名が就業を開始した。ほぼ入国したタイミングで技能実習生が外国人実習機構に登録されるため、受入れ企業の動向が判明する。
エコネコルは、2013年に株式上場したエンビプロ・ホールディングスのグループ会社で、廃自動車・廃家電の処理とともに、鉄スクラップや非鉄、廃プラの再生を手掛ける。同社は2001年 8月から富士宮市の本社工場で固形燃料であるRPFの製造を行なってきたが、外国人技能実習生についても職種認定された後、早い段階から受入れに動いてきた。もともとグループ会社で貿易事業を担うNEWSCON(ニュースコン)がベトナムのホーチミンに駐在所を設置。現地でウッドチップペレットを生産して、日本へ輸入する事業を検討していた。この事業化は頓挫したが、将来的にRPF製造を海外で立ち上げる構想もある。日本で外国人を雇用研修することは、同社グループで海外展開を図る方向性とも合致しているわけだ。
将来的な人材不足に対する危機感を、同社の佐野文勝社長は露わにする。「外国人材が就業場所として、必ずしも日本を選ぶとは限らない。韓国など日本より早く労働人口の不足に直面している国は、環境を整備したり、高い給与を払ったりして、外国人材をかき集めようとしている」と語る。RPF製造は労働集約型の事業でありながらも、3Kのイメージで慢性的な人手不足に陥っており、人手確保は死活問題である。
今後、日本の労働力不足の問題は深刻化していく。パーソル総研によると、2030年には、約7000万人の労働需要に対し、約6400万人の労働供給しか見込めず、644万人の人手不足になると推計している。RPF製造は廃棄物関連事業の中で、もっとも早く業種に認定を受けた業種。同社のように先陣を切って人手不足や海外戦略の布石を打つことは、将来に向けた内外での競争力にも繋がってくる。
東南アジア諸国にとっても、プラごみ問題に向き合う機運が高まっており、同時に化石燃料の代替燃料にもなるRPFに対しては、積極的な人材育成を促す動きもある。
エコネコルの従業員は約230名。そのうち、RPF部門に15~20名が従事している。2つのラインを計5名で回し、3交代で24時間稼働となっている。ただし、技能実習生は残業や夜間勤務が認められておらず、8時~17時までの勤務。これはRPF製造が規定する要件を守らなくてはならないからだ。残業や休日出勤も認められていない。
またRPF製造業で実習生を受入れられる工場は4つの条件を満たさなければならない。①JIS規格または300t/月以上の生産能力、②安全衛生推進者(常時50人以上を雇う工場は安全管理者)の選任、③安全衛生委員会の設置、④安全衛生規定を制定である。エコネコルの場合、環境マネジメントの国際基準であるISO14001やISO45001、ISO9001を取得済みであるため、構内の管理面で培ってきた強みがある。
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