先日、長崎県の離島・対馬を初めて訪れた。複雑なリアス式海岸と対馬海流が交わる地理的条件のため、大陸から流れ出た海ごみが集中しやすいところに位置している。現地の環境団体の案内で海岸を歩いたが、澄み渡る海の美しさとは対照的に、海岸線はごみに覆われていた。実際に目にしたのは、PETボトル、漁具、発泡スチロールなどのプラスチック製品がほとんどだった。中には韓国語や中国語のラベルがそのまま残っているものも多く、キャップの形状やボトルに印字された番号からも、出所の特定が可能だという。
▼このような現状に取り組むのが、NPO法人「対馬CAPPA」。代表の上野氏は、元々はカヤックガイドとして対馬に移住したが、活動中に目にした海ごみの多さをきっかけに、清掃・調査活動に本格的に乗り出した。特筆すべきは、韓国・中国の関係機関に対して文書による問題提起を行い、韓国側とは「海ごみ問題シンポジウム」の共同開催など、具体的な連携が生まれている点だ。こうした国際的な草の根交流の成果もあり、韓国由来の海洋ごみは近年減少傾向にあるという。
▼プラごみが自然環境中で分解されるのには400~600年を要するとされる。しかも分解後も、マイクロプラスチックとして生態系へ影響を及ぼすリスクが残る。各地で海ごみ問題が顕在化する中、対馬のような国境離島は、海洋ごみの“受け皿”として最前線に立たされている。一方で、地域単位での調査・回収・国際連携といったアプローチは、行政や業界にとって今後の対策モデルのひとつにもなりうるだろう。
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