プラスチックリサイクル事業のエコロ(埼玉県入間郡三芳町、後藤雅晴代表取締役)は、プラスチックと紙などの複合素材からなる壁紙リサイクルの需要増を受けて、今年8月、壁紙リサイクル処理を行う綾瀬リカバリーセンター(神奈川県綾瀬市、敷地面積約700坪)のラインを増設する。一般廃棄物の硬質プラスチック(製品プラスチック)については、4つの市と契約して有価で買取り、所沢マテリアルセンター(埼玉県入間郡三芳町、敷地面積約1000坪)で再生樹脂ユーザーの要望に合わせた品質に仕上げて、フレークを販売。また、遠方の顧客のニーズに応える「オンサイトリサイクル」の事業化も図る。オートメーションによる工場の省人化と、「ブルーオーシャンで事業を行う」(後藤社長)という戦略で収益性を高めている。
内装の仕上げに使う壁紙は、紙系や繊維系、プラスチック系などの種類があるが、エコロがリサイクルで扱うのは国内生産量が最も多い塩化ビニル樹脂系。月間の処理量は約80トン。産業廃棄物広域認定を受けている一般社団法人日本壁装協会の会員メーカーから排出される塩化ビニル製壁紙を処理する。
塩ビを含む混合廃棄物を受入れるエネルギーリカバリー施設や焼却施設はあるものの、一般的に塩化ビニル樹脂は、塩素分が焼却炉の腐食原因になることから、埋め立て処分されることが多い。壁紙はプラスチックと紙の複合物のために、安定型処分場に処理できる5品目(廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず、がれき類)に含まれず、管理型最終処分場で埋め立てることになる。管理型処分場での処分費は安定型に比べ2倍以上で、処理コストがかかるというのが現状だ。
埋め立て処分費がかさむこと、そしてマテリアルリサイクルをしようにもプラスチックと紙とを分離する際に、再生パルプが粉体となり、扱いが難しいことなどからか、壁紙をリサイクルできる業者はいなかったといわれる。温度、湿度など、日々変わる外部環境によって再生品に違いが出てしまい「他がやろうと思ってもそう簡単ではない」(後藤社長)。それを同社はコントロールし最適化して、再生品ユーザーが求める品質を確保するノウハウを確立した。
壁紙は厚さわずか0.3ミリメートルの間に、パルプ層、塩ビ発泡層、印刷層が重なっている。同社はこれを「叩解」「遠心」「比重」「気流」の各工程を経る分離技術によって、再生塩ビ樹脂と再生パルプへと分ける。投入口から壁紙の細片を入れ、叩解機の高速回転する鋸刃で各層を削り取り、塩ビ層とパルプ層に分解する。遠心分離機でパルプの大半を回収し、タワー型風力分離装置による風力と、比重差を利用して、塩ビ樹脂に残るパルプ分を除去、さらに振動ふるい機にかけ、パルプ分を完全に除くという流れ。
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