エコポート九州の廃プラマテリアル棟外観
有価物回収協業組合石坂グループ(熊本市東区、石坂孝光代表理事)を訪問し、今後の製品プラ一括回収に対する取り組みと、PETのAIロボット選別の現状、将来的な設備計画について聞いた。2回にわたって掲載し、前編は製品プラの一括回収に関して詳しく取り上げる。
石坂グループは1979年(昭和54年)に熊本有価物回収事業協同組合として設立。翌年の80年に資源化工場を開設した。81年に古紙用大型ベーラーを設置し、古紙の直納事業を開始。86年に有価物回収協業組合石坂グループに組織変更した。98年から熊本市役所委託事業として「ミックス古紙選別事業」と「PETボトル選別加工事業」を開始した。
エコポート九州は2010年、日本紙パルプ商事が70%、石坂グループが30%を出資して熊本港に工場を開設した(現在の出資比率は日本紙パルプ商事65%、石坂グループ35%)。同工場は容器包装プラスチック、RPF、機密書類処理を3本柱として、24時間稼働で処理を行っている。特に容リプラのマテリアル化施設としては全国有数の設備であり、九州でも現在は唯一の再商品化事業者となっている。
破砕する前の製品プラ類
今年度、福岡市では市内9ヵ所の拠点回収によって製品プラを回収し、エコポート九州で組成調査と再資源化のテスト実施を行う。既に5月23日から拠点回収を開始し、来年3月末まで行う。エコポート九州では、6月から順次集まった製品プラの調査・再資源化を行ってデータを集めていく。また福岡市以外のサンプル調査をすることが既に決まっており、北九州市等、九州内の政令指定都市や主要市が実施する。前述のように、九州内で容リプラのマテリアル化施設はエコポート九州だけとなっており、処理能力としてもまだ余裕があることから、積極的にテスト実施の要望を受け入れている。
福岡市のケースでは、回収の対象は福岡市全域、9カ所の拠点回収で、5月下旬から回収実験を行い、6月下旬から製品プラが一定量集まって集荷、7月中に組成分析、分析結果が出る見通し。組成分析では、回収品目ごとの重量、リサイクル可能物と不可物の割合、夾雑物や異物の割合、プラ素材ごとの重量、リチウムイオン電池の混入の件数等を全て数値化して分析する。
容リプラのマテリアル施設
製品プラの回収を始めることは、すなわち硬質プラの回収・処理を行うことである。しかし全国各地にある容リプラの再資源化施設では、軟質プラしか対応しておらず、硬質プラのリサイクル処理設備を備えていない施設が多い(※PETボトルは硬質の一種だが、容リプラと分別区分を分けるか、飲料容器と混合回収するケースが多いため、処理工程が異なる)。軟質と違って硬質プラは堅くて大きいものが多い。この時点でストックする広い場所を確保する必要がある。また既存の破袋機やコンベア、破砕機では、大きいものが入らなかったり、うまく処理できなかったりする。当然、既存のベーラーにも形状の大きいものは入らないので、破砕する必要あるが、そもそも破砕機に入らない、コンベアに入らないでは話にならない。
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