【日本ウエスト】
輸出市場からRPF用途に廃プラ還流
処理需要睨み、京都に生産拠点を拡充 FREE

日本ウエストの第一工場の外観日本ウエストの第一工場の外観

 中国の環境規制の強化によって、輸出されていた多くの廃プラが行き場を失った。国内に廃プラが還流したことで、これまで以上に国内資源循環が求められ、政府も今年6月に大阪で催されるG20サミットに合わせて「プラスチック資源循環戦略」を策定する。日本の廃プラリサイクルは熱回収の比率の高さが一つの特徴。そこで有力視されている用途の一つが固形燃料のRPFである。RPFは約7割の廃プラと約3割の古紙を成形して造られる。こうした廃プラ処理需要を睨み、RPF事業で国内最大手の日本ウエスト(長田和志代表取締役、京都市伏見区表町590番地1)は今年3月、京都市内に新工場を竣工した。ただRPF事業は、最大の需要家である製紙メーカーの消費が伸び悩んでおり、需要喚起ともに新たな受け皿の創出が課題となっている。

 中国が2018年初頭から廃プラの輸入を全面禁止した結果、日本のRPF事業者を取り巻く環境は激変した。例をあげると、①RPF原料となる産廃処理費の上昇、②廃プラ原料に対する品質要求の高まり、③需要家によるRPF調達価格の値下げという3つが起こった。

RPF需要実績と生産実績

 ①RPFは石炭代替であるためもともと売価が安く、売上を原料となる廃プラの産廃処理費で確保するのが同事業の定石だ。2000年代前半の廃プラが中国へ流れるようになって以降、国内の処理費は下がり続けていた。だが昨年来、中国が輸入を禁止したことで反転し、2~3倍近い価格まで上昇した。RPF向けは品質面で制約もあるため、廃プラ処理費は20~30円前後となっている。

 ②廃プラに含まれる塩素分(主に塩化ビニル)はバイオマスボイラーの炉を傷めるため、RPF原料には不向きで敬遠されてきた。中国から廃プラが還流したことで、RPF向けの原料は潤沢となり、選択や調達ルートの見直しが進んだ。RPF事業者はより要求品質を高めて選別し、原料となる廃プラは中国の規制前と別物になったとさえ言われている。

 ③RPFの最大の需要家である製紙メーカーは2018年4月、購入価格を下げた。廃プラの処理費が上昇したことでRPF事業者の足元をみられたためだ。もっともRPFの需要が頭打ち~減少傾向であることも影響している。今年もさらなる値下げを探る動きが続いているという。今後、RPFを使うバイオマスボイラーの新設計画は愛媛県、岡山県、京都府などで予定されている。FIT(固定価格買取制度)では、RPFよりも木くずを燃料に使用したほうがキロワットあたり7円以上高くなり、木くず燃料のバイオマスボイラーが主流となっている。

廃プラスチックの排出・処理状況(2017年)

 産廃処理費の高騰も一服感は出ており、今後は上限となっている焼却・埋立コストの変動が注目される。焼却コストは40〜50円/キロが目安。仮にこの水準が上がってくると産廃処理費にもさらに上昇余地が生まれるだろう。今回の中国の輸入規制ショックで、もっとも負担が増えたのは、廃プラの排出事業者と言えるだろう。

 RPF事業者にとっては痛し痒しの状況だ。廃プラの処理費は上がったものの、RPFの売価は下がった上、需要の頭打ち感も強まる。現状は売価ダウンを処理費アップで相殺できても、先行きの不透感は強い。今後は販売先の確保が難しくなることも想定される。

 販路拡大の一つとして期待されるのがRPFの輸出だ。環境省が3月、条件付きでRPFの輸出を認めることになった。①RPF業者がJIS規格を取得していること、②環境省の事前相談を経ること、③現地着値で有償取引であることが条件で、一般社団法人RPF工業会の照会を経る手続きも設けている。仕向け地として、東南アジアや台湾、韓国を想定しているが、フレート(海上運賃)と需要家のニーズともマッチングがカギとなるだろう。

日本ウエストは1万3000トンを供給

RPFエコグループの生産能力と販売実績

RPFエコグループの生産能力と販売実績

 国内で最大手RPF業者の一つである、日本ウエストの新工場を訪問した。今年3月、京都市伏見区で稼働させたばかりだ。もともと同区内で本社工場を運営していたが手狭となっていたため、約2年前より新たな拠点を検討していた。今年3月12日に産廃中間処理施設許可を取得し、オープンに至った。新工場を第一工場と名付け、旧本社工場を第二工場に改称した。

 近隣には業務提携する同業の光アスコン・京都環境保全公社の工場も立地。廃棄物・リサイクル企業が集積することから「千両松地域エコ協議会」を組織し、地域の美化活動等や環境教育ゾーンとしても取り組む地区である。商売上の取引関係もある中で、違法行為などを相互監視することで、優良な事業者の集まる土地柄となっていた。

 日本ウエストは同業3社と業務提携を結び「RPFエコグループ」を結成。自社生産分は、本社の第一・第二工場(京都市伏見区)、川越テック㈱(埼玉県川越市)と日本ウエスト東海㈱(三重県三重郡川越町)の計4ヵ所。これで月間計9000トンの販売量がある。他に同業の3社も加盟している。2004年に㈱京都環境保全公社(京都市)、2005年に光アスコン㈱(京都市)、2006年に㈱高野環境(福岡県太宰府市)と順次提携してきた。

 この3社に対してはRPF製造を技術協力するとともに、RPFの販売はすべて日本ウエストが担う。京都環境保全公社と光アスコンはいずれも同じ京都市の伏見区内の業者だ。業務提携の3社分から月間2800トンの販売量がある。また他に原料供給面で協力してRPF販売を担う事業者も数社あり、この販売量が月間1000トン。すべて合わせて、RPFエコグループの販売数量は月間1万2000〜1万3000トンに上っている(各工場の生産能力と販売実績は別表を参照)。

構内の合理化で働き方改革にも配慮

 第一工場の敷地面積は3300平米、工場面積は1600平米。1日あたりの生産能力は170トン、月間約4200トンである。設備投資額は建物とプラントを合わせ11億円に上ったが、一部は二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を活用した。

 主な設備としては破砕機2基、成型機3基(リングダイ式2基とスクリュー式が1基)で、屋根天井には太陽光パネルも設置し、年間7万4000Kwhの発電量を見込む。安全対策として随所に炎センサー、温度センサーを設置し、火が出た際には初期消火で対応する仕組みだ。また構内16ヵ所に監視カメラも設置されている。

 同工場の大きな特徴の一つが、破砕機から成形機まで原料の移動をコンベアではなく風送で行うことだ。コンベアから原料の落下防止とともに、移送過程で比重の重い金属類を分別することができる。また人手不足を考慮し、働き方改革にも配慮した設計となっている。例えば重機の動線の工夫。2基ある破砕機に対し1台の重機が投入する。従来の工場では、1基に対し1名でやっていた作業だったので、半分の人員で対応できるようになった。また重機の操作席にモニターを設置し、操作席の中から他の設備の様子も確認できる。他には、粉状のRPF原料の専用ホッパーを設け、スクリューコンベアで切り出して定量器に原料を風送。工場内での粉塵の飛散がほぼなくなったたことで就労環境が大きく改善した。

 同工場は24時間の稼動で、従業員は4名体制。変則型の2交代勤務のシフトを組んでいる。一般社団法人RPF工業会では、RPF事業者における外国人研修生制度の活用も模索しており、同工場でも外国人の働き手を受入れることを視野に入れている。

RPF需要の創出に課題

 今回、新工場を設けたものの、日本ウエスト・RPFエコネットグループのRPF販売量はほぼ横ばいを維持する。RPFの需要が伸び悩んでいるためで、今後RPFの需要増に合わせて増産体制に移項していく考えだ。日本ウエスト東海では、RPFではなく前段階の廃プラを破砕しただけのフラフ燃料を製造してセメント会社に供給するなど、既存設備も活かした処理や燃料用途にも取り組んでいる。

 日本RPF工業会によると、国内のRPF需要予測は2017年に年間140万トンで前年より30万トン減らした。最大の需要家である製紙メーカーも概してRPFの消費量を減らしている。その理由をあげると、①石炭の消費量を増やす傾向から。補助金活用に伴う使用燃料の縛りが終了した後は、柔軟な燃料調達計画が立てられる。ボイラーの寿命を考慮したバイオマス燃料の消費減も起きているようだ。②製紙メーカーの生産量減少で、バイオマスボイラーの発電量も比例して減少傾向にある。③ボイラーの不具合や点検作業が増え、燃料使用量にも響いたーーなどだ。

 ただ、RPFの品質面は向上しつつある。日本ウエストは、JIS規格を2010年7月に国内で初めて取得した事業者。第一工場でも品質を維持するため、日立ハイテクサイエンス製のX線分析機を設置している。主に塩素、重金属の含有量を検査し、データ蓄積・管理を行う。全国他社では、15社22工場がJIS規格を取得しているが、環境省がJIS規格の保有を要件にRPF輸出を認めたことで、申請が殺到している。

 とはいえRPF原料の輸出には課題も多い。新興国では、まだまだ石炭依存型のところも多く、RPFの切り替えはハードルが高いからだ。RPFは現地までの輸送コストが高く、よほどコスト的なメリットがないと本格的な使用に続かないとみて、同社では輸出に慎重な構えだ。

自社物流による集荷・出荷体制も強化

 第一工場の稼動に合わせ、同社で拡充したのがRPF輸送用の大型トレーラーである。新たに4台導入し5台体制となる。第一工場の原料の調達エリアは、近畿1円から、中国、四国の愛媛・徳島、北陸、中部の愛知・三重をカバーしている。一方、RPF燃料の供給販売先は全国に広がっている。

 これまで自社車両による廃プラなど産廃原料の収集を重視し、約70台ほどの車両を保有していた。自社回収率は80〜90%まで高めていたが、RPFの供給サイドの物流はあまり重視してこなかった。しかし、人手不足の中で将来的な安定供給を考えると、自社車両に供給も欠かせなくなっている。今回の増車によって、RPF供給の自社物流率は80〜90%まで上昇し、RPFの原料回収から工場における生産、製品の出荷まで、自社で一貫してできるのが同社の強みとなっている。

 古紙と同様にRPFもいかに国内で販売枠を確保するかが肝となっている。人手不足も深刻化する中で、同社のように生産性の高い工場のオペレーション、自社物流手段の確保はRPF事業者の中で競争力に繋がっていくだろう。

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