
2000年代前半から持ち去り行為が社会問題として取り上げられるようになった。持ち去りとは、主に自治体が行う資源物の行政回収において、住民がごみ集積所に出した物を、正規の業者が回収に来る前に持ち去ることである。抜き取りやアパッチとも表現されてきた。この持ち去りが成立するにはいくつか条件がある。①持ち去りを行う再生資源物の価格が高いこと、②その持ち去った再生資源物を買い取ってくれる業者がいること、③労力や時間等のコストに見合った対価が得られること等。古紙の持ち去りが横行したのが2005年頃からだが、当時は輸出価格が上昇してキロ10円を超えた時だった。その後もやはり価格が上昇すると持ち去りが増える、価格が下落すると持ち去り業者が離散するという状況が続いていた。
②の持ち去った物を買ってくれるかどうか。古紙問屋や古紙回収業者の組合である全原連や日資連では、持ち去り古紙の取り引きを行わないように全組合員に誓約書を出させている。また製紙メーカーもそれらの持ち去った古紙を買わないとする誓約書を出している。ではどうして持ち去り古紙が横行するのか。1つは古紙業界ではアウトサイダーと言われる有価物業者、異業種からの参入業者、組合未加入の古紙業者が買い取りをしているケース。これらの古紙は輸出されていることが多い。以前は持ち去りの人員を50人ほど寮に住まわして、持ち去り行為を組織的、計画的に行う業者もいた。また③については、現在アルミが異常な値上がりをしており、業者のアルミ販売価格はキロ200円を超え、260円台となっている。スポット高値では280円近い価格も出ている。アルミ缶は持ち去りのターゲットになりやすく、街中の自販機では自転車などで持ち去る姿まで見かける。事業系のものは自治体が関与する物ではなく、事業者が窃盗で届け出ない限り、お構いなしという状況になっている。
ではPETボトルはどうか。現在、PETボトルの市中価格は、過去最高の水準に到達している。ベール品の流通価格はキロ50円を超えており、地域によっては60~70円のところもある。しかしPETボトルの持ち去りが今後出てくるかというと、おそらく出てこないだろう。輸送効率が極端に悪いからである。いくら持ち去り業者が用意周到だからといっても、PETボトルをワゴン車など一杯に詰め込んで持ち去ったところで、ほとんどお金にならない。一般的にはPETボトルの輸送コストは古紙の5倍~10倍と言われている。また蓋やラベルが付いており中身が残っているなど、汚れがあることも難点だ。どれだけ価格が高くなっても、PETボトルの持ち去りだけは今後も出てこないだろう。
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