【改正資源有効利用促進法】
GX推進と連動した資源循環強化へ、改正法が公布
再生材利用義務など盛り込み、2026年施行予定

 循環型社会の形成を目指した「資源有効利用促進法」の改正案が第217回通常国会の参議院本会議で5月28日に可決され、6月4日に公布された。一部の規定を除き、2026年4月1日から施行される。今回の改正では、①再生材の利用義務化、②環境配慮設計の促進、③GXに必要な原材料等の再資源化の促進、④CE(サーキュラーエコノミー)コマースの促進といった新たな措置が盛り込まれた。再生材の利用義務化に関しては、一律の基準ではなく、事業者が自主計画の中で目標値を設定し、その進捗を国へ報告するスキームとなっている。対象製品については、プラスチック製品などを含め、今後政令により定められる見通しだ。

 今回の資源有効利用促進法の改正案は、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(いわゆるGX推進法)の改正案と一体で国会に上程され、審議が行われた。GX推進法は、2023年5月に成立した、脱炭素社会の実現に向けたクリーンエネルギー政策の基本方針を示す法律であり、2050年カーボンニュートラルと経済成長の両立(GX)の実現を目指すものである。

 政府は現在、「成長志向型カーボンプライシング構想」の具体化を進めており、今回の改正では以下の4点が盛り込まれた。すなわち、①排出量取引制度の法定化、②資源循環強化に向けた新制度の新設、③化石燃料賦課金の徴収に関する具体的措置、④GX分野への財政支援体制の整備を行う。これらのうち、二酸化炭素の排出量取引制度や化石燃料賦課金の措置は2026年度(令和8年度)から順次実施される予定となっている。

資源有効利用促進法の概要

 いわゆる資源有効利用促進法とは、2001年4月に施行された資源の有効な利用の促進に関する法律である。資源を効率的に活用するための法律で、循環型社会の構築を目指し、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推奨、長寿命化、省資源化を目指した製品の設計段階における環境配慮、再生資源としての利用促進や廃棄物の抑制など産業廃棄物対策等を求めている。特に、一般廃棄物及び産業廃棄物の約5割をカバーする10業種・69品目を同法の対象業種・対象製品として、事業者に対して3Rの取り組みを求めている。

 例えば、製鉄業や自動車製造業、化学工業、建設業、紙・ガラス・家電製品などが対象となり、それぞれの業種・製品に応じて省資源化やリユース設計、分別表示の義務などが定められている。

 対象製品としては、自動車や家電、パソコン、小型二次電池などが中心で、製造・輸入・修理の各段階において、資源の使用削減や再生資源の活用、製品回収の仕組み構築などが求められる。加えて、スチール缶やペットボトル、塩ビ建材といった製品には、消費者の分別回収を促すための表示義務も課されている。

 また、電力・建設分野で発生する石炭灰やコンクリート塊などの副産物についても、再資源化を進めるための措置が講じられており、事業者にはその有効利用が義務づけられている。

 今回の法改正を受け、対象業種・製品に関わる事業者には、従来以上に設計・製造から回収・再資源化までを見据えた対応が求められることになる。

資源有効利用促進法の改正

 今回の法改正により以下の施策が新たに導入された。

①再生資源の利用義務化

 脱炭素化の促進を目的として、再生材の利用義務を課す製品を特定し、当該製品の製造事業者等に対し、再生材の利用に関する計画の提出および定期報告を義務付ける。当該計画の作成にあたっては、GX推進機構が必要な助言を行う。

 現時点では、「再生資源の利用義務」を課す製品の具体的なリストはまだ明示されておらず、今後の政令公布を待つ必要があるが、自動車や家電製品、パソコン、リチウムイオンバッテリーなお、プラスチックを使用する製品が候補として挙がっている。

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