プラスチックのリサイクル手法は、サーマルからマテリアルへ、マテリアルからケミカルへと各手法の限界を補い、乗り越えようという動きが目立つ。中でも注目されるのが、ケミカルリサイクルの普及だ。化学工業メーカーを中心に構成される日本化学工業協会(日化協)は、将来のあるべき姿として2030年までに150万トン、2050年までに250万トンのケミカルリサイクルの拡大目標を掲げてきた。だが、高コストの壁をどう乗り越えるのか、大量ロットの廃プラをどう集められるかが課題だった。
▼物議を醸したのが、昨年まで検討していた「プラスチックのリサイクル事業推進」のスキーム。あらゆるプラスチック製品にリサイクル料金を上乗せし、あらかじめ徴収した費用でケミカルリサイクルを推進しようというものだ。独禁法の観点から課題があり、既存の産廃業界からの反発もあった。この11月に東京都産業資源循環協会が改めて日化協と意見交換したところ、このスキーム自体は取り下げているものの、将来のあるべき姿と目標値は依然据えられており、これに向けて今後は個社の取り組みに委ねられつつあるようだ。
▼今月12月にはPSジャパンの水島工場で年間1千トンの使用済みPSのモノマー化するプラントが稼働する。2025年には出光興産らが千葉事業所において年間2万5千トンの廃プラを油化技術で再資源化する設備を立ち上げる。またマイクロ波化学がマイクロ波をつかい工程を減らすなど、コスト削減策の開発も加速。再生製品の認証制度も欠かせないが、化学分野におけるISO/TC47の品質規格へ盛り込めるよう、今後3年間で検討を進めるようだ。リサイクラーにとっては、ケミカル向けのスペックや新規需要量が関心事となってくる。
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