
周知のとおり、日本の廃プラリサイクルはサーマルリサイクルが62%を占めており、数量にして510万トンの廃プラが流れている。その中でも、固形燃料RPFによるリサイクルが年間100万トン前後ある。RPFは、2000年初頭に製紙業界が主導し、開発された石炭代替燃料の一つ。バイオマスボイラーで安定的な需要があり、製紙メーカーと一蓮托生で事業を営む産廃処理事業者も多い。商流だけでなく、業界団体である一般社団法人日本RPF工業会の運営によって、その地位も確立されてきたわけだ。
▼だが、RPF事業者の心の中には一抹の不安が芽生えている。2050年のカーボンニュートラルに向けて、将来的に廃プラのサーマルリサイクルは旗色が悪くなる可能性があるからだ。代替燃料はCO2排出削減に繫がっても、脱炭素によるカーボンフリーにはならない。これを乗り越えるには、製紙メーカーがCCS・CCUS(二酸化炭素の貯留・利用)といった追加策を講じることが不可欠だ。しかし、調査レベルで取り組んでいても、こうした環境対策を明確に宣言しているメーカーはない。
▼現在、CO2分離回収コストは、1トンあたり4000円/t-CO2前後とされている。例えば最大手の王子HDはGHGのネット排出量で年間654万トンなので、262億円の追加コストになる。まずは脱石炭を目指し、燃料転換などの環境投資が先にある。内外でCCS・CCUSの設備は続々と立ち上がり、コストは安くなる傾向にあるものの、この追加コストは重たい。しかし、今後はリサイクル手法の弱点を需要家がどう捉えているかによって、廃プラ原料の行き先も大きく変わってくるはずだ。
2025年12月01日【中華系リサイクラー4社に聞く】中国の廃プラ輸入禁止を経て、事業方針を転換日本で拓くプラスチックリサイクルの可能性
2025年12月01日【岡田商事】家電由来のMIXプラを月間2,000t受け入れペレット化独自の高度選別技術を磨き、大半を中国へ安定輸出
2025年11月24日【萩原工業】リサイクルプラスチックの粘度を均一化する技術を開発三井化学と連携し、設備の製造・販売を開始
2025年12月01日【廃プラ・再生製品の輸出入動向】アジア輸入規制がもたらす今後の国際循環と対応策
2025年01月14日【プラニック】 ヴェオリアが昨年12月に撤退し、豊田通商が株式承継本格稼働からわずか2年、採算や品質改善でもハードル
2025年12月01日 コラム
改正資源有効利用促進法(資源化法)で自主目標と定期報告の対象となるプラスチックは、自動車・家電・容器包装の3品[...]
2025年11月25日 コラム
去る11月6日、(一社)日本RPF工業会が開催する「第9回 安全大会」を取材した。RPF製造工場で起こりがちな[...]
2025年11月03日 コラム
慢性的な人材不足に陥っている現在の日本。業界内で言っても、特に中間処理施設をはじめとするリサイクル企業は、3K[...]
2025年10月27日 コラム
来年度の容リ入札制度の見直し方針が示された。検討会は計2回開かれ、安定枠の廃止や上限価格の適正化など、概ね材料[...]