2024年4月15日 PJコラム 

【コラム】ファーストペンギンの成功率は?!

PJコラム

 ファーストペンギンという言葉がある。常に集団で行動するペンギンの中で、天敵がいるかもしれない海に向かって、真っ先に魚を求めて飛びこむペンギンのことを呼ぶ。リスクはあるが誰よりも先に行動することで、大きな対価を得られる可能性がより高まる。NHKドラマ「あさが来た」で使われて広まったという。そしてPETボトルのボトルtoボトル事業でのファーストペンギンは、大手化学繊維メーカーの帝人だった。

 帝人は2002年、世界で初めてPETボトルのBtoB技術を開発し、翌03年に山口県に専用工場を開設。ポリエステルのケミカル化技術の応用によって、当時は逆有償だったPETボトルを再生PETボトルに戻すことに成功した。この技術の商業化で多くのメディアで取り上げられた。だが、帝人は時代を先取りし過ぎた。日本では1997年の容リ法施行によって、PETボトルの回収量・回収率は大幅に増えた。しかし中国は2003年頃から、安価で高品質である日本の廃PETボトルの輸入量を増やしていく。帝人は価格競争を強いられ、思うように原料が集らなくなる。結果的に2008年に同事業から撤退した。

 先日訪問した佐賀県の古紙問屋・イワフチの岩渕社長も、ファーストペンギンを目指して果敢に動いた1人だ。容リ法施行前の1995年、九州では初めてとなるPETボトルのフレーク化工場を立ち上げた。現在、年間2500~3000トンのPETフレークを生産しているが、「BtoBによる仕入・価格競争はかなり厳しい。今回の入札はほとんど取れなかった。先駆者だからと言って恩恵がある訳ではない」と話す。

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