
紅麹を含むサプリメントが健康被害を引き起こし、騒動となっている。この「機能性表示食品」というのは、2015年に創設された制度。安全性と機能性に関する科学的根拠などを消費者庁に届ければ、事前審査や許可なくして、企業の責任で食品機能を表示できるようになった。それまで健康機能表示できた「特定保健用食品」、「栄養機能食品」は、国の規格基準適合や許可手続きを要した。規制緩和されたこの制度自体にも問題がなかったのか。
▼2年前に起きた知床遊覧船の事故も、運営企業だけの責任に帰されてしまった面がある。だが、観光客を乗せる船舶の通信手段の不備や荒天時の出航判断をチェックする仕組みがなかった。加えて、海上保安庁の初動の遅れも最悪の事態を招くことになった。現場到着に約3時間も要したのは、知床など北海道北東部は海保が救難士を置く空白エリアとなっていたからだ。政府は観光誘致キャンペ―ンを旗振りしてきたものの、いざというときの事態が担保されていなかったのだ。
▼プラ新法に基づく自治体のプラスチックの一括回収はどうだろう。中間処理から再商品化まで一貫して行う再商品化計画は既に14自治体が大臣認定を受けた。自治体のコストを軽減でき、合理化されると言えば聞こえがいいが、驚いたのは容リ協会が受け入れ拒否した堺市が同計画の大臣認定を受けたことだ。これでは従来の品質管理の厳しい容リルートからの「逃げ道」となり兼ねない。分別徹底を図ったり、中間処理工程を改善するなどして対処するのが常道ではないのか。自治体の責任に委ね、外部からのチェックが緩むこの仕組みに一抹の不安を感じる。
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