2024年11月18日 PJコラム 

【コラム】東大阪のものづくり精神とアイリスオーヤマ

PJコラム

 東大阪市は大阪市の東に隣接した人口48万人の中核都市で、昔から「ものづくり」の街として有名である。市内には約5600の工場・事業所があり、可住地面積当りの事業所数(1km平米当り)は108カ所で、2位の大阪市の66カ所を引き離して全国トップとなっている。業種別では金属製品が27%でトップ、次いで機械器具類が24%。プラ製品は第3位で550社(10%)ほどあり、成形メーカーが圧倒的に多い。また東大阪市の企業の約半分は年商1億円未満の零細企業が占めていることも特徴だ。

▼今や世界的な企業に成長したアイリスオーヤマは、元々は大山ブロー工業という東大阪の零細プラ成形メーカーだった。同社はプラスチック製品の需要増で成長を遂げていたが、1970年代のオイルショック時に倒産の危機に陥り、創業の地である東大阪の本社工場から設備投資を行っていた仙台工場に本社を移転する決断を下す。この本社工場の閉鎖とリストラによって、何とか倒産を免れたのだった。同社は不況期の危機を教訓にして、その後は次々と新しいものづくりに挑戦し、生活用品メーカーとしての歩みを進めた。

▼最初のヒット作はプラ製の植木鉢だった。それまでの植木鉢は素焼き製が主流だったが、割れずに軽いプラ製は瞬く間に全国に広まった。次いでヒットしたのがペット用品で、これまでベニヤ板だった犬小屋や柵をプラ製にして大ヒットとなった。そして同社の名前を知らしめたのは、クリア収納ケースの発明である。衣類はタンスや押入れに収納すると、どこに何をしまったか分からず、見つけるのに苦労した。中身が見える収納ケースは、収納+見つけやすいという二つの利点から、爆発的なヒット商品となった。同社には今も東大阪で培ったものづくりの精神が受け継がれている。

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