プラスチック資源循環促進法(以下、プラ新法)に基づく「再商品化計画」の第2弾として、愛知県安城市と神奈川県横須賀市が12月19日、新たに大臣認定を受けた。安城市は㈱富山環境整備(富山市)と、横須賀市は㈱TBM(東京都千代田区)との計画が承認されたもの。前者は2024年1月から、後者は2023年4月から容リプラ・製品プラの一括回収を開始する。富山環境整備は安城市から約270キロ離れており、中間処理の能力が不足する同市は既存の圧縮梱包だけの施設も活用する。またTBMはこれまで再商品化実績のない新規施設であるが、横須賀市が従来の容リルートを併用して申請。いずれもユニークな計画で、後続する自治体の参考となりそうだ。
プラ新法第33条に基づく「再商品化計画」とは、大臣認定を受ければ、各自治体が容リプラ・製品プラを一括収集した後、指定法人である日本容器包装リサイクル協会に基準に合致したものを引き渡さなくとも、独自にリサイクルができるというもの。特に連携する事業者が中間処理施設(指定保管施設)とマテリアル化施設(再商品化施設)の機能を併設している場合、合理化のメリットが大きい。計画の期間は最大3年間。第1号として宮城県仙台市とJ&T環境㈱が9月30日、計画認定を受けていた。仙台市では、2023年4月から容リプラと製品プラの一括回収を全域実施する予定で、初年度は容リプラを1万3104 トン、製品プラを1456 トンの計1万4560トンの回収量を見込む。
愛知県のほぼ中央南側に位置する安城市は、人口18万9千人を抱える自治体である。容リプラの収集は2003年4月から全域で実施してきた。2022年度の容リプラの引き渡し予定量は1263トンだった。同市内で中間処理を請け負ってきたのが、安城プラスチックリサイクルセンター。民間資本によって整備された施設だ。
ただ、製品プラと一括収集を実施した場合、収集量が2割前後増える見込みとなり処理能力が不足していた。他の民間施設候補を募っても確保できず、再商品化計画によって中間処理の過程を合理化。高度な光学選別処理設備を備えた富山環境整備に、一括回収した容リプラ・製品プラを引渡し、破袋・選別の中間処理からペレット化の再商品化までの一貫した流れを委託する。
安城市から富山市富山環境整備の高度選別センターまでは、実に約270キロもの距離がある。一見、合理化の趣旨から外れるようにもみえるが、同市の近隣には再商品化施設が乏しいことや、物流コストを加味しても処理コストが抑えられることから、同社との計画申請に踏み切ったという。自治体と再商品化施設の距離は、計画認定において最重要ではないということだ。
計画では中間処理が2ヵ所で行われる。一つは従来からの安城プラスチックリサイクルセンターで、破袋・選別の工程を省いて袋のまま圧縮梱包し、富山環境整備がベール品を引き取る。また新たに加わるもう1ヵ所は、近隣市にある古紙の圧縮梱包を行う古紙業者が容リプラ・製品プラについても圧縮梱包を施す予定だ。この施設は、一般廃棄物の中間施設許可を取得しているという。
一括回収は2024年1月からの実施予定で、2023年4月~12月までは、従来どおり容リプラのみを分別収集して、容リ協会に引き渡す。つまり来年度の途中から、容リルートから再商品化計画のルートに移行する。そのため、再商品化計画の初年度の回収量は356トンだが、次年度から1423トンを見込む。そのうち容リプラが1174トン、製品プラが250トンとしている。
富山環境整備の高度選別センターは、処理能力が年間15万トンもの大型設備を備える。容リプラ及び産廃を光学選別してPP、PE、PSに分けて、マテリアル向けのペレットに再生してきた。同社は容リプラの再商品化事業者としても実績があり、2022年度は材料リサイクルの手法で4番目に多い計2万9080トンを落札していた。
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