環境省は9月30日、プラスチック資源循環促進法(以下、プラ新法)の第33条にもとづく「再商品化計画」を申請していた宮城県仙台市を第1号として計画認定したことを発表した。期間は2023年度(令和5年4月1日)から2025年度(令和8年3月31日)までの3年間。中間処理と再商品化を行うのが、J&T環境㈱の仙台工場。同工場は、中間処理施設(指定保管施設)とマテリアル化施設(再商品化施設)が隣接しており、リサイクルの合理化が図れる。
政令指定都市の中で、仙台市は容リプラと製品プラの一括回収の実施を表明していた。2023年1月から一部地区で先行実施し、同年4月から全域で開始する予定だ。実施に先がけて、再商品化計画が認定されたことで、効率的なリサイクルを進められるとみられる。他に京都市が2023年4月から、岡山市が2024年3月からの一括回収の開始を予定している。
仙台市は、2002年度から容リプラの収集を実施しており、指定法人である容器包装リサイクル協会(以下、容リ協会)に引き渡してきた。同市はこれまで2年度にわたり、容リプラ+製品プラの一括回収をモデル実施し、検証してきた。2020年に1地区、2021年度に5地区に拡げ、期間を限定する形で行った。その結果、収集量としては11%増えたという。収集時の指定袋を製品プラと見なすと、さらに数量は膨らむそうだ。
再商品化計画の初年度は、容リプラを1万3104 トン、製品プラを1456 トンの計1万4560トンを収集・再商品化する予定だ。一括回収を始めることで、製品プラの重量が上乗せされるだけでなく、容リプラの掘り起こしも期待される。2022年度における容リプラだけの予定数量は、1万2137トンだったので、約20%増える見込みだ。
J&T環境㈱仙台工場が仙台市の指定保管施設として容リプラの選別・梱包・保管を行っており、一括回収の実施以降も、この1ヵ所で製品プラを合わせて受け入れる予定だ。隣接地には、同じJ&T環境㈱仙台工場のマテリアルリサイクル施設があり、容リルートにおける再商品化事業者として登録している。
今回、「再商品化計画」が認定されたことで、仙台市が収集した容リプラ+製品プラは、容リルートの入札を経ずとも、特定の事業者に引き渡す新法ルートに移行する。中間処理・再生事業者にとっては、容リ法の分別基準に合わせた選別・圧縮の必要がなくなり、再生処理時の二度手間を省くなど効率的なリサイクルが出来る。入札で落札することが不要になるので安定的にモノが確保できるメリットも大きい。仙台市にとっては、中間処理の委託コストや物流コストを抑えられるメリットがある。仙台市が申請した再商品化計画には、リサイクル手法として材料リサイクルのペレット、フラフ等の用途を挙げている。
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