産業廃棄物の適正処理を推進する公益社団法人全国産業資源循環連合会(全産連)はこのほど、女性のためのコミュニティ全国組織「全国産業資源循環連合会女性部協議会」(二木玲子会長・大谷清運社長)を設立した。47都道府県産業資源循環協会に所属している企業で働く女性を対象に、コミュニティサイトを通じた交流の場を提供する。11月18日、設立総会および「女性が働きやすい職場づくり」をテーマとして第1回女性部会のつどいがオンラインで開催され、全国から123人が参加した。
協議会の組織体制は二木玲子会長を筆頭に、東久保真弓副会長(愛知県産業資源循環協会女性部会長)、武元佳弥世話人兼事務局(兵庫県産業資源循環協会女性部会副部会長)が運営メンバーで、各府県女性部会長らがリーダーという位置づけ。リーダーとはいえ、各々女性部会長の任務もあり、負担が増えることのないようサーバントリーダー(支援型リーダー)として各種情報を広める役割を担うにとどめる。運営費は活動に賛同してくれる企業からの協賛と各女性部会からの協力金(年1万円)で賄う。
女性部協議会発足のきっかけは、昨年6月、各地女性部会の部会長が集まった座談会。そこで女性のための全国組織を作ろうということになった。一方で、「女性部会長の負担が増えるのは困る」、「仕事につながらなければ意味がない」、「また全産連には青年部があり、その活動でいいのではないのか」という意見があった。
そこで部会長たちは女性の生の声を集めようと、47都道府県の産業資源循環協会の会員企業の女性従業員にWebアンケート調査を行った(実施期間2022年4月18日~5月25日)。現在、女性部会があるのは1都13県の協会で、会員数は200人強。これら女性部会会員以外の、女性部会に入っていない女性従業員含め578人(経営者14%、管理職19%、一般社員67%)から回答が寄せられた。回答者の約7割を占めた一般社員は従来、協会事業に参加する機会が少ない女性たちだという。アンケートの「女性コミュニティに参加したいですか」という質問に対しての回答は「とても思う」10%、「思う」が57%で、およそ7割が、女性コミュニティがあれば参加したい意向があった。
また女性コミュニティに対する期待の声も多かった。「女性ならではの観点で業界を盛り上げたい」「より良い経営体制づくりをしていきたい」「仕事に生かせる情報交換がしたい」「いろいろ相談できる窓口が欲しい」などだ。
それらの意見をもとに設立メンバーが目指したのは「新しい組織のカタチ」。具体的には「オンラインでいつでも学べる環境」と「自分の意志で参加できる環境」の提供である。現在は協会事業に参加しようと思ったら上司の許可が必要となる。さらに前もって仕事上の段取りをつけなければならないからだ。加えて、メンバーが考えたのが社会に開かれたコミュニティにするということ。内向きにせず、団体の婦人会やPTAのような組織にはしないということだ。そして女性部会のない協会の会員企業の女性たちにも参加してもらえる全国組織にするため、会員制のコミュニティサイトを立ち上げることに決めた。入会金および会費は無料。年齢や役職に関係なく参加できる。また、原則は各都道府県産業資源循環協会の会員企業の女性が対象だが、協会に所属していない企業の人でも女性部会会員の紹介であれが会員になることができるなど門戸を広くしている。
すでにコミュニティサイトは立ち上げた。メールアドレス登録やSNS公式アカウント登録を行えば、協議会の情報を閲覧でき、セミナーやイベントなど興味のある活動を選んで参加できる形式にする。サイト上で動画配信も行う。これまで女性部会では2ヵ月に1度ミーティングを行っていたが、そこでの講演などをサイトにアップしてあり、これらも会員になることで、無料で見ることができる。いずれはオンラインセミナーなども無料、有料のいずれでも企画する予定だ。サイト内にはいつでも相談ができる「質問掲示板」も設けた。実名でなくニックネームで投稿できる。
オンラインのみならず実地活動も計画している。施設見学は実践研修会として、女性が働きやすい環境を整えている企業や、SDGsに関する具体的な取り組みを行っている企業に出向くなど、異業種企業を含めて自社業務の参考にする機会を設ける。広い視野で異業種との関わりを持ちたいというのも同協議会の特徴。女性が働きやすい環境を考えることで、業界内だけでなく、社会に貢献したいとする。SNSや業界メディアを活用して、広く社会に情報を発信するつもりだ。
女性部協議会の活動方針などを含め詳細については、コミュニティサイトのトップページにアップされている「インフォメーションブック」で確認できる。
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