【再商品化計画】
新たに3自治体が認定取得、年度末の瀬戸際に
容リ協が引取拒否の堺市は認定、京都市間に合わず

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 プラスチック資源循環促進法(プラ新法)に基づき、自治体と民間事業者が連携して中間処理と再商品化を一貫して行う「再商品化計画」のスキームで、新たに3自治体が3月末に大臣認定を受けた。3月27日に北九州市、3月29日に三重県菰野町と大阪市堺市に対して認定が下りた。今回、注目されたのは、日本容器包装リサイクル協会(容リ協)から中間処理工程での品質基準が満たないことなどを理由に、2024年度(令和6年度)から引き取り拒否されることになっていた堺市と京都市への対応だった。堺市は滑り込みで大臣認定を受けたものの、京都市は取得できず新年度を迎えることになり、リサイクルが停滞する恐れとともに、制度における矛盾が露呈することになっている。

再商品化計画の制度上の矛盾露呈

 まず、従来の容リ法のリサイクルのスキームと、プラ新法で設立された再商品化計画(第33条)のスキームの違いを簡単に振り返ってみたい。

 容リ法で整備された、再商品化のスキームは、自治体が分別収集で容リプラを集めた後、中間処理施設で破袋・選別・圧縮し、容リ法の基準を満たすベール品にして、指定法人である容リ協へ引き渡す。毎年実施される容リ協の入札で落札した再商品化事業者がこれを引き取り、ペレットなどに製品化するというわけだ。

 一方、プラ新法第33条に基づく「再商品化計画」とは、大臣認定を受ければ、各自治体が容リプラ・製品プラを一括収集した後、容リ協に引き渡さなくとも、独自にリサイクルができるというもの。自治体は、連携する事業者が中間処理施設と再商品化施設の機能を併設している場合、製品プラの再商品化コストを抑えられるため、合理化のメリットが大きい。

 容リ法で求めるベール品の基準を満たすには、中間処理の工程をしっかり管理しなければならない。もともとプラ新法の再商品化計画のスキームは、こうした管理能力を備えた自治体・事業者に対して、認定が下りるものと考えられていた。ところが、品質を維持できなかった自治体が、再商品化計画の取得に動いた場合はどうなるのか。まさに堺市と京都市では、そういった事態が起きたのだ。

再商品化計画が”逃げ道”となる前例にも

 堺市と京都市に対しては、容リ協が2024年度(令和6年度)分の容リプラ・製品プラの受け入れ(京都市については一部)を拒否するという前代未聞の措置が取られた。容リ協に引き渡す前の中間処理工程で、再三の指導したものの、品質ガイドラインに見合うベール品の製造が困難と判断されたためだ。

 容リ協によると、「他市町村のプラスチックの混入や、未選別のプラスチック(指定収集袋の状態のまま破袋されていない状態)が多数検出されるなど、他市町村との区分け管理や異物除去が徹底されていない状況が散見され、当協会が定める引き取り品質ガイドラインを著しく下回る状況が確認されました」としている。

 また、「両市が委託する中間処理施設において、ベールの引き取りに来訪した運搬事業者を正当な理由なく長時間待機させるという状況に加え、一部の事業者間で落札量の引き渡し配分等の問題が生じる状況が確認されました」といった問題も指摘されている。

 ちなみに、この中間処理施設とは京都府八幡市にある信和商事の本社工場。2023年度は堺市・京都市の他、大阪市の一部と大阪府門真市の計4自治体から年間2万1,800トンの中間処理業務を請け負っていた。同施設は、もともと古紙ヤードと兼用で容リプラの中間処理したこともあり、手狭だった。品質を満たせなかったのは処理能力を超えたためで、一括回収の広がりで複数自治体の依頼を断りきれなかった事情もあるようだ。2024年度は、中間処理委託を前年度の4自治体から2自治体に減らし、品質管理の改善に向けて対応するという。

京都は行き先が保留のまま新年度に

 容リ協から引き取り拒否を通告されたとはいえ、堺市と京都市の両自治体は一旦始めた容リプラ・製品プラの分別収集をストップするわけにはいかない。そこで残されたのは、①再商品化計画の認定取得、②独自ルートで再商品化を実施、②焼却処理の3択となっていた。

 今回は両市ともに、①の取得に動いた。ちなみに②は、莫大な額のリサイクル費用が自治体負担となる。③は分別排出させたものを焼却することになり、市民感情は黙っていないだろう。分別収集が止められないとすれば、①を選ぶしかないわけだ。

 だが、再商品化計画の大臣認定が取れると、特定事業者から集めたリサイクル委託費が結局、容リ協を通じてその自治体に行き渡る。容リ協にモノの引き受けを拒否されたにも関わらず、再商品化計画の認定取得によって、費用だけが動く仕組みとなっているのである。ここに制度の矛盾がある。

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