10月に公正取引委員会がPETボトルリサイクルに関する報告書を公表した。問題視したのは容リ協の働きかけと全清飲の合意だったが、その発端は飲料メーカーによるボトルtoボトルリサイクルの高い目標設定で、廃PETボトルの仕入れ競争が激化したことにあるのは間違いない。だが、いずれはPETボトルのBtoBリサイクルが一般的となり、飲料メーカーの競争領域でなくなるのではないか。つまり飲料メーカーにとってPETボトルの環境対応は当たり前のことであり、差別化要因にならなくなるのだ。
▼ただ、気になるのは、各飲料メーカーが「再生PETボトルを〇%使用」と主張している数字を客観的に証明する仕組みがないことである。化学的にPETボトルを解析したところで、そのPETボトルが再生材かバージン材か判定することが難しい。飲料メーカーがリサイクル事業者の報告を通じて、再生材の数量を把握しているだけである。例えば、再生材が不足したとき、バージン材よりも高値が付いたとき、あるいは業績不振に見舞われたとき、原料をすり替えるモラルハザードが起きないとは言い切れない。
▼過去に教訓はある。同じ再生資源である古紙は、製紙業界での配合率偽装問題が2008年に発覚した。表記された配合率を下回る水準しか古紙を使っておらず、その紙製品を供給していたのだ。こうした慣習が17社もの製紙メーカーで横行。これを機に業界で配合率検証制度を設けて、第三者機関に確認作業を依頼する仕組みをつくった。また総額10億円を捻出し、啓発活動にもあてた。いわば懺悔の償い金である。発覚のきっかけだった年賀状はがきは、当時の発行部数に比べて今や3分の1にまで縮小。SNS普及の影響も大きいが、消費者の信頼失墜の代償は大きい。
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2022年08月30日【容リPET 2022年度下期速報】PETボトルの落札平均価格が115円/kgにバージン市況軟化の中、過去最高値を更新 FREE
2023年09月15日【容リプラ・製品プラ】来年度、86自治体で製品プラ1万8千トン見込むTBMは横浜市の容リプラ約3000トンを途中辞退
2023年08月21日【欧州のELV(廃自動車)指令改正】 自動車のプラ再生材利用25%を義務化へ 日本から対欧州向け輸出車・部品にも影響
2023年02月28日【容リPET 2023年度上期速報】PETボトルはバージン安で、半値近くまで下落初の一括回収のプラスチック入札は処理費上昇 FREE
2024年04月22日 コラム
紳士服・スーツ販売「洋服の青山」の青山商事が牡蠣の貝殻を使った素材「SEA WOOL(シーウール)」のスーツを[...]
2024年04月15日 コラム
ファーストペンギンという言葉がある。常に集団で行動するペンギンの中で、天敵がいるかもしれない海に向かって、真っ[...]
2024年04月08日 コラム
紅麹を含むサプリメントが健康被害を引き起こし、騒動となっている。この「機能性表示食品」というのは、2015年に[...]
2024年03月25日 コラム
先日、直富商事(本社・長野市)が新設した第三工場を取材した。混合廃棄物の中間処理施設で、この分野では日本で初め[...]