横須賀工場 外観
素材ベンチャーのTBM(本社:東京都千代田区、山﨑敦義代表取締役CEO)によるリサイクルプラント(神奈川県横須賀市神明町)で11日、記念式典が催された。報道関係者にも工場内が公開された。同プラントは一廃プラと産廃プラ、そして使用済みの自社製品LIMEX(ライメックス)も回収して再生ペレットにする。処理能力は年間4万トン、再生ペレット生産能力は同2万4000トン。国内最大級の規模だが、SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)設立により初期コストを抑えた。同社はこれを皮切りに今後3~5年のうちに、同規模の工場を国内に10ヵ所設ける方針。使用済みLIMEXと廃プラスチックを合わせた処理・再生量を、2030年までに累計100万トンにする目標も掲げ、同社は国内外において同事業を拡大していく考えだ。
TBM横須賀工場はJR久里浜駅から徒歩約20分、京急久里浜駅からは徒歩15分程度で、駅から比較的近いところに立地する。敷地面積は1万3693平方メートル、工場床面積5990平方メートル、事務棟床面積2205平方メートルの規模。敷地は隣接する地元企業からの借地で、SPCが所有する工場内設備を使ってTBMが運営する形式である。家庭由来の廃プラスチックおよび企業から排出される産業廃棄物扱いの雑多なプラスチックも含め、幅広く扱うという。ものづくり事業にフォーカスする、ということから運搬車両は保有していない。

式典で挨拶する山﨑 敦義CEO
同社は今年4月、横須賀市と連携協定を結び、11月1日から横須賀市内一部のエリアから容器包装プラスチックに加え製品プラスチックも集める実証実験を開始した。この実証でデータを収集、プロセスを確立したうえで2023年4月からは、プラスチック資源循環推進法(プラ新法)の正式な認可のもとでプラスチックの一括回収を市内一部地域で開始し、10月には横須賀市全域で実施する予定だ。また協定により、市の広報ポスター、チラシ、名刺などへの同社複合素材LIMEX(炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含有)の採用が検討されているが、10月の全域回収の時点ではLIMEXも横須賀市の分別回収表に掲載され、一括回収に含まれるようになる。
新工場の現場従業員約20名は全員新規採用。同社プラント事業部の杉山琢哉部長は式典で「心強いメンバーが集結した。工場も早期に単体で黒字化し、フル稼働にこぎつけられると確信している。ここが世の中を変えていく震源地となる」と述べている。
20名の中には、業務提携している資源リサイクル大手のエンビプロ・ホールディングス(本社:静岡県富士宮市)からの出向により工場に常駐する1名が含まれている。このほか3~5名から遠隔での技術支援及び営業支援を受ける。しかし、エンビプロHDはあくまでも側面的な支援をするのみ。マテリアル化(ペレット生産)過程で出る残渣はエンビプロHDが引き受けることになると推量できるが、これについてTBMは、エンビプロHDも残渣を引き受けてもらう候補の1社という位置づけに留めている。
…
この記事は有料会員記事です
▼残りの68%を読むには、会員登録が必要です▼
この記事は有料サービスをご契約の方がご覧になれます。
契約されている方は、下記からログインを、
契約されていない方は1か月の無料トライアルからお試しいただけます。
2025年12月01日【中華系リサイクラー4社に聞く】中国の廃プラ輸入禁止を経て、事業方針を転換日本で拓くプラスチックリサイクルの可能性
2025年12月01日【岡田商事】家電由来のMIXプラを月間2,000t受け入れペレット化独自の高度選別技術を磨き、大半を中国へ安定輸出
2025年11月24日【萩原工業】リサイクルプラスチックの粘度を均一化する技術を開発三井化学と連携し、設備の製造・販売を開始
2025年12月01日【廃プラ・再生製品の輸出入動向】アジア輸入規制がもたらす今後の国際循環と対応策
2024年01月26日【シタラ興産】埼玉で一廃・産廃焼却施設に122億円投資2027年に稼働予定、年間1万5000MWの発電も
2025年12月01日 コラム
改正資源有効利用促進法(資源化法)で自主目標と定期報告の対象となるプラスチックは、自動車・家電・容器包装の3品[...]
2025年11月25日 コラム
去る11月6日、(一社)日本RPF工業会が開催する「第9回 安全大会」を取材した。RPF製造工場で起こりがちな[...]
2025年11月03日 コラム
慢性的な人材不足に陥っている現在の日本。業界内で言っても、特に中間処理施設をはじめとするリサイクル企業は、3K[...]
2025年10月27日 コラム
来年度の容リ入札制度の見直し方針が示された。検討会は計2回開かれ、安定枠の廃止や上限価格の適正化など、概ね材料[...]