年末からたまたま読み始めた本の1冊が「奇跡の生還へ導く人―極限状況の『サードマン現象』(ジョン・ガイガー著)」だった。遭難や事故、災害といった過酷な状況から生還した人々が証言しているのが、「サードマン」と呼ばれる実体のない案内人の存在だった。著者はこれらを神秘的現象と片づけず、多くの研究者の資料などにあたって、単調さや喪失感によるストレス、低温や低酸素などといった内的・外的要因を探る。結論的には、極限下での脳が生み出した知覚現象なのだが、それでも生還に導いた潜在能力への謎は残る。
▼正月からたて続けに北陸地震、飛行機事故が発生し、多数の人が生死と紙一重だった状況を過ごしたことは想像に難くない。普段からの想定や備え、訓練がいかに重要かを改めて思い知る。同時に危機的な状況から救われた人々がいる奇跡に驚かずにはいられない。先述の書は「乗り越えられそうにない障害を克服し、生還するためのカギは、まず、目の前の恐ろしい状況にどうにかして打ち勝てる、自分は生き延びるというシンプルな信念を持つことである」と諭す。
▼命が懸かった状況と同一線上には語れないが、プラスチックのリサイクル事業もこれまで死の淵とともに歩んできた。マテリアルリサイクルはバージン原料の価格変動の波にのまれ、ケミカルリサイクルは技術的な蓄積が乏しく、巨額投資が要るスケールアップにも壁が立ちはだかった。幾多のプロジェクトが撤退を余儀なくされたが、再び法制度や補助金が後押しし、新たなプラスチックのリサイクル事業が勃興期を迎えている。事業主体へサードマン的な存在となりえるか、専門媒体としても身の引き締まる思いである。
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