年末からたまたま読み始めた本の1冊が「奇跡の生還へ導く人―極限状況の『サードマン現象』(ジョン・ガイガー著)」だった。遭難や事故、災害といった過酷な状況から生還した人々が証言しているのが、「サードマン」と呼ばれる実体のない案内人の存在だった。著者はこれらを神秘的現象と片づけず、多くの研究者の資料などにあたって、単調さや喪失感によるストレス、低温や低酸素などといった内的・外的要因を探る。結論的には、極限下での脳が生み出した知覚現象なのだが、それでも生還に導いた潜在能力への謎は残る。
▼正月からたて続けに北陸地震、飛行機事故が発生し、多数の人が生死と紙一重だった状況を過ごしたことは想像に難くない。普段からの想定や備え、訓練がいかに重要かを改めて思い知る。同時に危機的な状況から救われた人々がいる奇跡に驚かずにはいられない。先述の書は「乗り越えられそうにない障害を克服し、生還するためのカギは、まず、目の前の恐ろしい状況にどうにかして打ち勝てる、自分は生き延びるというシンプルな信念を持つことである」と諭す。
▼命が懸かった状況と同一線上には語れないが、プラスチックのリサイクル事業もこれまで死の淵とともに歩んできた。マテリアルリサイクルはバージン原料の価格変動の波にのまれ、ケミカルリサイクルは技術的な蓄積が乏しく、巨額投資が要るスケールアップにも壁が立ちはだかった。幾多のプロジェクトが撤退を余儀なくされたが、再び法制度や補助金が後押しし、新たなプラスチックのリサイクル事業が勃興期を迎えている。事業主体へサードマン的な存在となりえるか、専門媒体としても身の引き締まる思いである。
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2024年10月15日【産総研】材料診断技術でプラスチックリサイクル促進イノベーション競争に遅れを取るな
2024年09月09日【2024年度下期 PETボトル入札結果】上期より35円上昇し、落札単価-84.5円/kgに協栄産業グループが巻き返し、東西格差薄まる
2024年01月26日【シタラ興産】埼玉で一廃・産廃焼却施設に122億円投資2027年に稼働予定、年間1万5000MWの発電も
2024年07月22日【プラスチックサーキュラーエコノミー推進協会】材料リサイクルの再商品化事業者22社が立ち上げ入札上限価格の見直しなど、政府へ要望書提出へ
2024年10月15日 コラム
恥ずかしながら10月20日が「リサイクルの日」ということを知らなかった。「ひとまわり(10)、ふたまわり(20[...]
2024年10月07日 コラム
『東京23区と都が「家庭ゴミ有料化」検討』と、フジテレビ系のFNNプライムオンラインが報じたのが9月16日。そ[...]
2024年09月24日 コラム
近年の新卒就活者数は約45万人。しかし、せっかく多くのエネルギーを費やして就職したのに、入社3年以内に会社を辞[...]
2024年09月17日 コラム
9月も中旬だというのに、この暑さ。冷やした麦茶がいまだとてもおいしい。麦茶をやかんからピッチャーに移しかえなが[...]