日本人に環境美化やごみ分別の習慣を根付かせてきたのが、『ごみ箱』の存在だ。最近では分別品目を増やしたり、綺麗な状態で排出してもらう工夫を施し、資源物回収の入り口としての役割が期待されている。この自動販売機横のリサイクルボックスの開発・製造販売で、顧客の約8割以上から選ばれているのが、アートファクトリー玄㈱(本社=東京都渋谷区、杉村総一郎代表取締役)である。日本で初めて公共空間に設置される『ごみ箱』を開発製造し『人々の意識や行動を変える、もの・空間・地域づくり』をミッションに掲げ、さまざまな社会の課題解決に取り組む。プラスチックごみの課題解決のカギも握るリサイクルボックスの可能性について、杉村代表に聞いた。
―今年5月の環境展で、中間処理とリサイクルの入口との協業で資源循環の高度化を目指すコンソーシアムで出展されておられました。そのとき、日本の大半の方が貴社製品を一度は使ったことがあるとの説明に衝撃を受けました。これほど多くのお客様に選ばれる秘訣とは?
「清涼飲料自動販売機は、全国に約220万以上設置されているといわれている中、弊社の自動販売機(以下、自販機)専用リサイクルボックスは、約8割以上のお客様にご利用いただき、一番選んでいただいています。そもそも自販機専用リサイクルボックスは市場規模がよく分からないのです。例えば、今年何基購入するとの目安はなく、今月何基購入されるかも分かりません。自販機の設置台数に応じた購入に限られています。自販機が設置されるロケーションオーナーのもとに自販機1基が設置されることでのボックス1基のご発注から、自販機事業者様から営業所単位での5基や10基のご注文をいただくこともあります。蓋がなくなったので蓋だけ1基送って欲しい、あるいは台風後にまとまって送ってくれといったご注文もあります。そういった細かい、その場その場のご注文が、北海道から沖縄の全国から入ります。様々な価格帯、性能や仕様の製品もあって、取付パーツだけの注文含め、地域によりますが、最短で翌日以降、お届けしております」
「購入予定はないものの、ボックスがないと自販機は設置ができませんで、在庫切れを起こさないことが何よりも重要です。昔、営業が進み自販機設置の決まった営業担当のお客さまから、在庫切れしたら休業保証できるか?等の厳しいご指摘をいただいたこともありました。全国に、これだけ導入されていたらすごいですね!と、ありがたいお話をいただきますが、他の事業同様、この事業のリスクとそれに備える体制づくりは大変で、営業部門に加え、専門の部門を設けて対応しております。受給予測の立て辛い中、在庫にバッファーを持つ必要がありますが、自販機設置がなければ、その月は購入いただけず、定期的な受注とはなりません。自販機の設置は1年中、満遍なくあるわけではありません。基本的に週次の在庫会議、月次の生産計画会議で更新する、過去のデータと今、そしてこの先の社会変化を見据えた需給予想が大変重要です。3ヶ月から半年先の需給予想を立てながら、常に軌道修正しながらやってきております。大きな変動要因としては、台風だけでなく、最近ではゲリラ豪雨や洪水、猛暑等の気候変動の影響も受けます」
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