㈱エフピコ
サステナビリティ推進室
ジェネラルマネージャー
冨樫 英治氏
「会社を守る」
危機感から自社回収を先駆け
水平リサイクルの仕組み築く
食品トレー最大手、
エフピコの33年を振り返る
2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法により自社で販売した使い捨てのプラスチック包装容器を回収し、再資源化する動きが大手メーカーを中心に広まっている。
そうしたなか、30年以上前から自社製品のプラスチック製食品容器の回収・リサイクルに取り組んできたのが、株式会社エフピコである。広島県福山市と東京都新宿区に本社を置く、食品トレーの国内最大手メーカーだ。
エフピコは1990年から食品容器の自主回収をスタートし、1992年には使用済み食品トレーを再利用した「エコトレー」の販売を開始。業界初となるエコマークを取得した。現在ではスーパーマーケットをはじめとする1万店舗以上から使用済み食品容器を回収し、全国3カ所のリサイクル工場で再資源化を行い、全国の生産工場で再生原料から製造した「エコトレー」を供給している。
エフピコのリサイクル事業はなぜ成功したのか。その背景にはどんな工夫や試行錯誤があったのか。さらにトレーのリサイクル率を引き上げるために、どのような取り組みを進めているのか。
同社のサステナビリティ推進室ジェネラルマネージャーの冨樫英治氏に話を伺った。
ー本日はよろしくお願いいたします。御社が食品トレーの自主回収とリサイクルを始めたのは1990年。アメリカの消費者団体によるマクドナルドの不買運動がきっかけだったと聞いています。
冨樫英治氏(以下、冨樫):おっしゃるとおりです。その当時は、ハンバーガー容器は発泡容器で、その発泡ガスにフロンガスを使用しており、環境破壊と叫ばれたフロンガスの使用禁止を求める不買運動がアメリカで起こりました。そこで大量のプラスチック容器を使用していたマクドナルドが槍玉に挙げられたのだと思います。
創業者の小松社長(当時)が、視察先のアメリカでの不買運動を目の当たりにし、また同じ時期の日本国内では廃棄物の最終処理場を確保するのが難しく、ひっ迫した状況でした。日本で使い捨てのプラスチック製容器包装が使われなくなれば、当社の経営は成り立ちません。当社にとって大きな経営環境変化に危機感を抱き、リサイクルに踏み切りました。会社を守るためとは言え、最初は完全な採算度外視の先行投資です。「エフピコはごみを集めるのになぜお金をかけるのか?」と疑問視する取引先銀行、同業他社も少なくなかったようです。
ー1989年に広島証券取引所に上場されているので、社会的責任のもと決断したという側面もあったのもしれませんね。
冨樫:それもあったかもしれませんが、やはり一番大きいのは創業経営者として会社を守るということ。オーナー経営者だからこそ下せた決断だったと思います。

リサイクル 回収ボックス
そうして始まった食品トレーのリサイクルが普及したのは、既に広い地域で牛乳パックを回収する動きが広まっていたからです。「牛乳パックと一緒に食品トレーも持ってきてください」とお願いし、多くの方にご協力いただきました。
ただ、配送時には新品の製品と使用済み製品を混載するのでクレームもあったでしょうし、そもそもスーパーに負担を掛けてしまいます。最初のころは大変だったようです。
ー食品トレーは専ら物(=リサイクルが主な目的の古紙などの資源物)ではありません。廃棄物処理法にはどう対応していたのですか?
冨樫:最初は自社製品を引き取る下取り行為という形でやっていました。ただ、当時は一般廃棄物と産業廃棄物の区別などについて、自治体から煮え切らない回答をされることもあり、法律のグレーな部分を乗り越えるのに、やはり苦労がありました。
…
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