2025年6月30日 PJコラム 

【コラム】
燃費と資源循環、“走る”から“還る”時代へ

PJコラム

 これまで長年ホンダ車に乗っていたが、今秋、トヨタ車に乗り換える予定だ。レンタカーでトヨタ車に乗る機会が多く、そのたびに燃費性能の高さを実感していたためである。周知のとおり、トヨタは世界最大の自動車メーカーであるが、世界最大のタイヤメーカーも日本企業のブリヂストンである。

▼日本国内では、廃棄されるタイヤの量が年間で約100万トン、本数にして約1億本に上るとされる。廃タイヤの処理方法としては、全体の64%を占めるサーマルリサイクルが主流である。そのほか、ゴムチップとして再利用されるマテリアルリサイクルが14%、さらに輸出やリユースも行われている。

▼そうした中で注目されるのが、タイヤのケミカルリサイクルである。代表的な技術が「熱分解法」と呼ばれる手法で、無酸素状態で加熱することにより、タイヤから油分、カーボンブラック、可燃性ガス、スチールなどを分離・再資源化ができる。なかでもタイヤ由来の油は、石油の代替燃料としての活用が期待されている。国内では、ENEOSとリバーHD、ブリヂストンが共同で実証実験を開始し、「タイヤtoタイヤ」の実現を目指している。

▼ELV(廃自動車)規則案で揺れる欧州でも、こうした動きは活発化。ドイツのPyrum社や、ミシュランが主導する欧州プロジェクト「BlackCycle」では、カーボンブラックの再利用や再タイヤ化に取り組んでいる。生成される原料の品質のばらつきや、処理コストの高さ、大規模投資が必要といった課題は日欧に共通する。使用済みタイヤが循環し、再び製品として生まれ変わる未来は、決して遠くないだろう。

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