2025年5月19日 PJコラム 

【コラム】化繊アレルギーと再生繊維、表示に潜む盲点

PJコラム

 消費生活センターに時折、こんな質問が寄せられるという。「化学繊維アレルギーがあるため綿100%の天然素材の衣類しか着ていないが、アレルギー反応が出たのはなぜか?」。実は、衣服の飾り部分などに別素材を使用していても、全体重量の5%以下であれば、綿100%と表示できるルールがある。そのため、綿100%の衣類と安心していても、ごく少量の化学繊維が含まれる可能性があり、化繊アレルギーのある方は注意が必要だ。

▼混紡とは、複数の繊維を混ぜて紡績するもので、最も一般的なのがポリエステルと綿の組み合わせ。中でも黄金比率とされるポリエステル65%・綿35%は、両者の長所を活かした生地を生み出す。ポリエステルは耐熱性や耐水性に優れ、加工しやすく、シワになりにくいが、吸水性や吸湿性に乏しいという短所もあり、これを綿の長所で補えるため、日常着から作業着に至るまで幅広く利用されている。ポリエステルはPET(ポリエチレンテレフタレート)と同じ分子構造を持ち、エステル結合を含む高分子素材の一種である。

▼近年、PETボトルのリサイクルはボトルtoボトルが主流だが、再生繊維向けのニーズも依然根強い。アディダスやパタゴニア、ユニクロなどが再生PETを衣料に活用し、Z世代の環境意識の高まりが追い風となっている。再生ポリエステルの使用比率を30〜50%以上に設定するブランドも多いが、環境配慮をうたうなら、配合ルールや達成状況の透明な開示が欠かせない。でなければ、消費者の失望による「エコアレルギー」も招きかねない。

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