2022年4月に施行されたプラスチック資源循環利用法によって、一般廃棄物として家庭から排出されるプラスチック類は分別収集を促し、「脱焼却」を進める方向に舵を切った。ただ、新たに分別収集や中間処理を実施することは、自治体のコスト負担増にも直結する。全国の自治体の中には、すでに高効率で発電設備を備えたごみ焼却施設を運用しているところも少なくない。
可燃ごみの2~3割を占めているプラスチック類は分別収集して、リサイクルする方法が最善の策なのだろうか。そうしたなか注目を集め始めているのがCCU(Carbon dioxide Capture, Utilization)。プラスチックを含むごみを焼却した際などに発生するCO2を分離回収し、有効活用する取り組みだ。
佐賀県佐賀市では、バイオマス産業都市構想の一環として清掃工場にCCUプラントを併設し、2018年8月から稼働。現在のごみ分別ルールでは、容器包装プラスチックと製品プラスチックは可燃ごみとして焼却し、廃ガスに含まれるCO2を回収して市内の農業や藻類栽培の事業者へ販売している。焼却施設由来のCO2の商業利用としては世界初の試みだ。
佐賀市のCCU事業は、どのような経緯で始まり、経済的合理性や持続可能性は得られているのか。また、焼却施設由来のCO2に安定的な需要は期待でき、各地に同様の取り組みが広がる展望があるのか。同市でCO2の有効利用を模索してきた、政策推進部バイオマス産業推進課と一般社団法人さが藻類バイオマス協議会に話を伺った。
平成の大合併で、佐賀市は2005年に周辺の3町1村、2007年にはさらに3町と合併した。それによって表面化したのがごみ処理施設の問題だった。合併によって市域がそれまでの4倍以上に拡大し、市内に4つのごみ処理施設が集まった結果、施設の維持費、人件費が膨らんだ。
そこで佐賀市では市民の負担を減らすため、4つのうち最も新しく、発電機能を備えた佐賀市清掃工場へごみ処理施設を統合する計画を立案。しかし、生活に不可欠な施設でありながら、周辺の住民から他の地域のごみを自分たちの生活圏に持ち込むことに、不安の声があがったという。
周辺エリアの市民との話し合いを進め、合意を得るまでに要した期間は約7年。ごみ処理施設は、2014年4月に統合に至っている。その過程でCCU事業の礎となるバイオマス産業都市構想が生まれたという。
ごみ処理施設を市民に負担をかけることなく資源やエネルギーを生み出し、住民へ還元していく施設にしていくという方針を秀島敏行前市長が打ち出し、それが「バイオマス産業都市構想」へとつながったのだ。
この構想のもと、佐賀市では清掃工場と下水処理センターをバイオマス事業のコアとなる施設として位置付けている。
清掃工場では、CCUプラントでCO2を分離回収するとともに、ごみの焼却熱から発電した電気を市内51校の小中学校や公共施設61か所へ供給。
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