2024年9月24日 PJコラム 

【コラム】環境貢献が就業機会に繋がるか

PJコラム

 近年の新卒就活者数は約45万人。しかし、せっかく多くのエネルギーを費やして就職したのに、入社3年以内に会社を辞める離職率は33%にも上る。つまり就活生45万人のうち15万人が、3年以内に再び就職活動を行っていることになる。主な退職理由は、①希望と業務内容のミスマッチ、②待遇や福利厚生への不満、③キャリア形成が望めない、との結果である。企業側はインターン制度や適性診断を行うものの、実際に仕事をしてみないと分からない部分も多く、お互いの課題もあって不本意なケースが後を絶たない。

 ▼富山県では、1999年から「14歳の挑戦」という活動を全85中学校で行っており、毎年の参加生徒は約1万1千人に上る。これは中学2年生時の5月~9月に、5日間の職業体験またはボランティア等の社会福祉活動を行うことを義務付けているもの。職業体験を受け入れる事業所は県内に2450カ所あり、職種は公共機関から医療機関、農業や飲食店、美容院や産廃業など多岐に渡る。実際に効果が表れており、富山県の大卒の新卒者の3年以内の離職率は29%で、全国平均の33%より4%低い。特に高卒の新卒者離職率は31%で、全国平均40%に比べると9%も下回っている。わずか5日間だが、ミスマッチが多少緩和されているのだ。

 ▼また近年は企業側のアプローチにも変化がある。例えば、名古屋に本拠を置く総合リサイクルのナガイホールディングス(本社・名古屋市)の永井社長は、「これまで新卒者は、職種や待遇、社風等で希望する企業を選んでいた。しかしこれからは、企業がどれだけ環境貢献を行っているかによって就職先を決める学生が増えていく。それこそ脱炭素貢献度で企業を選ぶ時代が来る」と話す。同社は古紙と産廃業が2本柱で、全て再生由来のクリーン電力を使用し、近々SBT認証も取得することで、脱炭素の取り組みをさらにギアアップしていくという。

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