世界190ヵ国で毎日34億人が使う製品を提供しているユニリーバ。先月、ケニア共和国ナイロビで開催された、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第3回政府間交渉委員会(INC-3)(2023年11月11~19日)の政策作業部会に、同社のシニアサステナビリティマネージャーの Jolanda de Rooij 氏がビジネス連合スポークスマンとして参加するなど、同社事業活動の影響力は大きい。同社はこれまでも世界各地でプラスチックの3R+リニューアブルに取り組んでおり、その成果が各所で顕在化し始めている。
ユニリーバは2021年、グローバルでのビジネスの方向性を示す「ユニリーバ・コンパス」を作成、その目指すところを「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」とした。環境や社会に貢献し、且つビジネスも伸ばそうという指針だ。同社が提供する食品、洗剤、ヘアケア、トイレタリーなど家庭で使われる一般消費財の容器には多くのプラスチックが使用されているが、そのプラスチックについては具体的に4つの目標を立てて取り組んでいる。
同社がグローバルで掲げる目標は、2025年までに①非再生プラスチックの使用量を50%削減し、絶対量で10万トン削減する、②使用するプラスチックの25%を再生プラスチックにする、③プラスチックパッケージを100%再使用可能、リサイクル可能、堆肥化可能にする、④販売する量よりも多くのプラスチックパッケージの回収・再生を支援。これら4つの目標でプラスチックをごみにしない社会を作ることを目指している。
非再生プラスチック(バージンプラスチック)使用量の50%半減の取り組みでは、海外において、住居用洗剤「ジフ」の濃縮タイプを販売し、容器ボトルの使用量を抑制。エコ志向のブランド「セブンスジェネレーション」では、洗剤をラムネ菓子のようなタブレット形状にし、缶に入れて販売。再購入の際には中身だけを買ってもらうようにしている。
南米チリでは、パートナー企業と共に洗剤のリフィルカーで詰め替えの量り売りを実施している。消費者は洗剤を使い終わる頃に、専用アプリを通じて、リフィルカーを要請する。コロナ禍で外出が制限されていた際にも重宝がられたという。
この量り売りは日本でも2021年2月以降順次実験的に実施した。実施地は長野県佐久市、宮崎県児湯郡新富町、奈良県奈良市、山口県周南市、広島県広島市で、百貨店やヘアサロンなどに「リフィルステーション」コーナーを設けた。
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