「CLOMAフォーラム2023」が去る10月11日、AP日本橋(東京)とオンラインのハイブリッドで開催された。参加申込は927名にも上り、会場には216名が参集した。来賓として経産省の素材産業課長である土屋博史氏が挨拶した他、CLOMA事務局含めて、講演者として7名が登壇した。プラスチック汚染対策条約の交渉過程や循環型経済の関連政策の最新動向とともにCLOMAの活動状況について報告があった。CLOMAは2019年1月に海洋プラスチックごみの問題解決に向けて発足したが、プラスチック資源循環においてもその役割の重要性が高まっている。
冒頭、CLOMAの澤田道隆会長(花王㈱取締役会長)が主催者として挨拶し、日本は分別・ごみ処理といった素晴らしい成果もあげてきたが、その成功体験が「逆に資源循環という位置に立った時に、妨げになるケースもあるのでは」と指摘した。将来的には、日本はあまり得意ではないが、と前置きした上で、「規制・ルール化というのをどこかで考えていかないといけない」と話した。
規制・ルール化というのは、具体的には、再生プラスチックの配合率を義務化していくようなことが想定される。欧州では、2030年からプラスチック包装に再生材を一定比率以上使うことが義務化される予定だ。ただ、日本では現時点で経済界のコンセンサスが得られていないとみられる。なお、個社として花王は、化石由来のプラスチック包装使用量をピークアウトさせ、2030年にプラスチック再資源化率を50%とする野心的な目標値を設定している。
基調講演で登壇したのが、環境省・経産省からの2氏。「プラスチック汚染対策に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の動向とINC-3への展望」と題して、環境省水・大気環境局海洋環境課長の大井通博氏、「成長志向型の資源自律経済戦略の今後のアクションについて」 と題して経済産業省産業技術環境局資源循環経済課長の田中将吾氏がそれぞれ講演した。
環境省の大井氏は、プラスチック汚染対策に関する条約交渉の状況を報告した。現在、2024年末までの合意に向けて交渉を進めており、今年11月にはケニア・ナイロビにてINC3が開かれる。もともと2022年の国連環境総会(UNEA)で、INC(政府間交渉委員会)の設置が決まったが、「それまで海洋プラスチックと言っていたものが、この決議では『海洋』が落ちてプラスチック汚染という言い方になった」ことがポイントだという。海洋が大きな焦点ではなるが、大気中に出てくるものなどもあり、海洋と限定しない決議になったという。
…
この記事は有料会員記事です
▼残りの74%を読むには、会員登録が必要です▼
この記事は有料サービスをご契約の方がご覧になれます。
契約されている方は、下記からログインを、
契約されていない方は無料トライアルをご利用ください。
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2024年10月07日【イオンディライト】飛沫防止パネルで再資源化事業計画認定取得関東のイオングループ企業店舗対象
2024年10月07日【東京23区の家庭ごみ有料化】メディアで取り沙汰されるも、検討これから2030年度末までのプラ一括収集が優先課題に
2024年09月09日【2024年度下期 PETボトル入札結果】上期より35円上昇し、落札単価-84.5円/kgに協栄産業グループが巻き返し、東西格差薄まる
2024年10月07日【環境省・資源循環システム構築に係る小委員会】基本的な方針案と判断基準を含む省令案を提示廃棄物処理業者は再資源化の目標や進捗を公表へ
2024年10月07日 コラム
『東京23区と都が「家庭ゴミ有料化」検討』と、フジテレビ系のFNNプライムオンラインが報じたのが9月16日。そ[...]
2024年09月24日 コラム
近年の新卒就活者数は約45万人。しかし、せっかく多くのエネルギーを費やして就職したのに、入社3年以内に会社を辞[...]
2024年09月17日 コラム
9月も中旬だというのに、この暑さ。冷やした麦茶がいまだとてもおいしい。麦茶をやかんからピッチャーに移しかえなが[...]
2024年09月09日 コラム
「再生材を使った製品は高い」という消費者の理解が進むべきだ。このような理想を掲げ、循環型の仕組みを目指す関係者[...]