2017年当時、中国の廃棄物輸入規制の影響で、自社から送った40フィートコンテナ6本分の荷物が海上で留め置かれ、その後シップバック、約4600坪(1万5218平方メートル)の自社工場敷地内には輸出を待つ荷物があふれ、フォークリフト1台がやっと通れるだけの通路しかなかったというカンサイ㈱(岐阜県揖斐郡大野町、川村宗徳社長)。同社は現在、フレコンバッグとブルーシートのマテリアルリサイクル需要が増加、再生ペレットの生産に力を入れるとともに、近隣自治体の硬質プラスチック回収を増やすべく、提案活動を強化している。また近い将来には、自社の再生樹脂を使って製品生産を手掛ける方針だ。チャイナショックとも呼ばれる当時の逆風に、同社はどう立ち向かったのか――。
その頃、同社はほぼ毎日、素材を限定せずエンプラ(工業用プラスチック)を含め、様々な廃プラスチックを40フィートコンテナ4本分、主に中国へ輸出していたという。廃プラスチックの月間回収量はおよそ2000トンだった。しかし、中国の輸入規制が強化され、同国へ廃プラスチックをベールのまま送る道は閉ざされた。輸出先を東南アジアに変更して対応したものの追いつかず切羽詰まった状況に追い込まれた。川村社長は「一度リセットしなければだめだ」と荷物を処分、2010年頃からは受け入れをポロプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)に絞り、それらをマテリアルリサイクルする事業へと転換した。
2018年に産業廃棄物処分業許可を取得。現在の月間扱い量は、フレコンバッグを約200トン、ブルーシートを約100トン、ミックスプラスチックを約100トン、アパレルなどで使用されたものや梱包材などフィルム系プラスチックを約100トンの計約500トンを受け入れている。中国向け輸出が全盛期のときに比べて、扱い量は4分の1に減ったものの、排出元から得られる産廃処理費によって、経営はなんとかつなぎ止めた。
…
この記事は有料会員記事です
▼残りの82%を読むには、会員登録が必要です▼
この記事は有料サービスをご契約の方がご覧になれます。
契約されている方は、下記からログインを、
契約されていない方は無料トライアルをご利用ください。
2024年09月09日【2024年度下期 PETボトル入札結果】上期より35円上昇し、落札単価-84.5円/kgに協栄産業グループが巻き返し、東西格差薄まる
2024年09月09日【環境省・資源循環システム構築に係る小委員会】再資源化事業等高度化法の政省令・告示に向けた検討開始報告義務、廃プラは年間1500トン以上の産廃業者を対象に
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2024年01月26日【シタラ興産】埼玉で一廃・産廃焼却施設に122億円投資2027年に稼働予定、年間1万5000MWの発電も
2024年03月04日【2024年度上期 PETボトル入札結果】前年度下期より7円/kg上昇、-49.5円/kgに回復遠東石塚が6割強落札、西高東低の価格体系に
2024年09月09日 コラム
「再生材を使った製品は高い」という消費者の理解が進むべきだ。このような理想を掲げ、循環型の仕組みを目指す関係者[...]
2024年09月02日 コラム
今年6月、カンボジアで日本人が運営するエコロギーという会社を訪問した。この会社は主に食用コオロギを養殖して販売[...]
2024年08月26日 コラム
板橋区は2022年8月から図書館や児童館の一部、商店街等、区内40カ所以上に回収BOXを設置して、使用済み歯ブ[...]
2024年08月05日 コラム
容リの再商品化事業の運営がまさに綱渡り状態となっている。容リ協が7月半ばに発表したヒアリング結果によると、20[...]