アジアでも韓国が率先して、廃プラを循環利用するための厳しい措置を取り始めた。韓国環境部は2022年4月26日、「資源の節約とリサイクル促進に関する法律(資源リサイクル法)」の一部を改正し、プラスチック製品のリサイクル義務の対象を拡大した。拡大生産者責任(EPR)の考え方に基づくもので、今回の改正では、15種類のプラ製品が「廃棄物負担金賦課の対象製品」から「リサイクル義務の対象製品」に変更される。2022年4月から先行して2製品に適用され、2023年からはその他13製品が適用される。
プラスチック利用製品の製造事業者または輸入事業者は、品目ごとに定められたリサイクル率を達成することが義務付けられ、違反した場合は罰金が科せられる。これらは韓国内では「拡大生産者リサイクル責任」と呼ばれている。2022年4月から適用されるのが、①産業用フィルム、②浄水器フィルター(交換用)の2品種。2023年4月から適用されるのが、③安全ネット、④漁網、⑤ロープ、⑥PE管、⑦PVC製品、⑧PPの生活用品、⑨物流用パレット、⑩プラ製運搬ボックス、⑪窓枠・ドア枠、⑫床材、⑬建築用断熱材、⑭電力・通信ケーブル、⑮自動車用維持管理用品である。
2022年4月から既に開始した産業用フィルムのリサイクル義務率は、出荷量の55%、浄水器フィルター(交換用)は同71%で設定されている。23年から適用されるリサイクル義務率は、22年度中に告示される。ちなみに小規模事業者の救済措置として、前年度の売上高が10億ウォン(約1億円)未満の製造業者、または前年度の輸入額が3億ウォン(約3千万円)未満の輸入業者に対しては、2025年までの猶予期間が設けられている。
生産者・輸入者はこれまでのように販売して終わりではなく、販売した製品がきちんと最終的にリサイクルされているかを確認する必要がある。リサイクルを行うまでが事業の一環となる訳だ。15品目のプラ製品は、基本的には一般消費者を対象とした製品ではなく、いわゆる事業系の製品が多い。しかしPPの生活用品は一般消費者への販売も多く、どのように回収網を築くのか注目される。また窓枠・ドア枠や床材、建築用断熱材、漁網、ロープ、物流用パレット等、リサイクルされるまで使用期間が長い製品も数多く含まれており、これらのリサイクル義務化をどのように担保するのか課題となる。当然ながら、生産者及び輸入者の費用負担は大幅に増えるだろう。
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