炭素繊維が飛行機の機体に用いられるということを知ったのは、1980年代後半、航空機分野での日米のテクノナショナリズムが物議を醸した頃。軽いのに鋼鉄と比べて引っ張りに強い比強度があり、比弾性(弾性率/密度)に優れた“すごい”ものと聞いたが、髪の毛をわずかに太くしたような黒く細い繊維が、一体どのようにして飛行機に使われるのか想像もつかなかった。
炭素繊維はいま、機体の軽量化に貢献するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)として、航空機の垂直尾翼や水平尾翼、フラップ、着陸装置ドア、圧力隔壁など多くの機体部位に使われるようになっている。その用途は自動車、産業機器、家電やスポーツ用品など民生品にも広がっている。用途が広がり、使用量が増えればリサイクルの検討が必要だ。しかしCFPRの製造過程で出る廃材や使用済みのものは、通常の焼却炉では処理できず、大部分は埋め立て処理されているそうでリサイクル技術の確立が望まれている。
CFPRにするのに使われるプラスチックは、炭素繊維の1本が切れても、その影響を広げない作用を持つ重要な役割がある。リサイクルの際には、そのプラスチックを取り除き炭素繊維のみを回収することになる。炭素繊維の物性を損なうことなくプラスチックを取り除く技術が難しいとされる。
リサイクルするには、熱分解法、液化法、物理的手法、電解酸化といった方法があるが、熱分解法が有力だという。CFPRのリサイクルでは炭素繊維が主役ではあるが、取り除かれたプラスチックはどうなるのか。複合材料のリサイクルにも目を向けたい。
2024年07月22日【プラ再生材利用の義務化】 中間とりまとめ案がパブコメ中、8月半ばまで行動変容につながる大手企業の自主目標設定に期待
2024年07月22日【SusPla(サスプラ)】再生プラの利用拡大に向け、認証制度創設へトヨタ自動車などの動脈企業も多数入会
2024年07月22日【プラスチックサーキュラーエコノミー推進協会】材料リサイクルの再商品化事業者22社が立ち上げ入札上限価格の見直しなど、政府へ要望書提出へ
2022年12月19日【エビス紙料】3月に愛媛工場開設、3工場でRPFを月間3600トン製造サーマルとマテリアルで資源化、海洋ごみも原料化に
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2024年07月22日 コラム
今年6月にカンボジアを訪れた。6日間の視察日程で、首都・プノンペンと古都・シェムリアップを訪問し、カンボジアの[...]
2024年07月15日 コラム
プラスチックの再生材利用の義務化はどこまで進むのか。6月末に経済産業相の諮問機関である小委員会の取りまとめ案の[...]
2024年06月24日 コラム
まったく同じ内容であっても、読み書き言葉ではなく、話し言葉で説明して欲しいという一定数のニーズが存在する。活字[...]
2024年06月17日 コラム
週末の恒例行事が家族麻雀となっている。妻が「麻雀をやってみたい」と言ったのをきっかけだ。高校生の息子と中学生の[...]