炭素繊維が飛行機の機体に用いられるということを知ったのは、1980年代後半、航空機分野での日米のテクノナショナリズムが物議を醸した頃。軽いのに鋼鉄と比べて引っ張りに強い比強度があり、比弾性(弾性率/密度)に優れた“すごい”ものと聞いたが、髪の毛をわずかに太くしたような黒く細い繊維が、一体どのようにして飛行機に使われるのか想像もつかなかった。
炭素繊維はいま、機体の軽量化に貢献するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)として、航空機の垂直尾翼や水平尾翼、フラップ、着陸装置ドア、圧力隔壁など多くの機体部位に使われるようになっている。その用途は自動車、産業機器、家電やスポーツ用品など民生品にも広がっている。用途が広がり、使用量が増えればリサイクルの検討が必要だ。しかしCFPRの製造過程で出る廃材や使用済みのものは、通常の焼却炉では処理できず、大部分は埋め立て処理されているそうでリサイクル技術の確立が望まれている。
CFPRにするのに使われるプラスチックは、炭素繊維の1本が切れても、その影響を広げない作用を持つ重要な役割がある。リサイクルの際には、そのプラスチックを取り除き炭素繊維のみを回収することになる。炭素繊維の物性を損なうことなくプラスチックを取り除く技術が難しいとされる。
リサイクルするには、熱分解法、液化法、物理的手法、電解酸化といった方法があるが、熱分解法が有力だという。CFPRのリサイクルでは炭素繊維が主役ではあるが、取り除かれたプラスチックはどうなるのか。複合材料のリサイクルにも目を向けたい。
2023年09月22日【リファインバースグループ】今年度末完工予定の三菱ケミカルの油化設備へ廃プラ供給ケミカルリサイクル向けの前処理をあおぞらが担う
2022年08月30日【容リ下期速報】PETボトルの落札平均価格が115円/kgにバージン市況軟化の中、過去最高値を更新 FREE
2023年09月19日【プラ汚染対策条約】ゼロドラフトを公表、第3回会合のたたき台に国別行動計画を主軸に、再生プラ利用率の設定も
2023年09月15日【容リプラ・製品プラ】来年度、86自治体で製品プラ1万8千トン見込むTBMは横浜市の容リプラ約3000トンを途中辞退
2023年01月23日【東京23区】全区でプラスチック脱焼却へ、プラ新法後押し 一括回収のモデル実施、残す3区でも検討進む
2023年09月22日 コラム
近所の小学校ではPTAがアルミ缶回収を行っていて、決められた日に子どもが各々、袋に詰められた空き缶を持って行く[...]
2023年09月15日 コラム
周知のとおり、日本の廃プラリサイクルはサーマルリサイクルが62%を占めており、数量にして510万トンの廃プラが[...]
2023年08月28日 コラム
歴史的な円安進行にも関わらず、衛生用紙の輸入量は一定の量が継続している。衛生用紙とは、ティッシュ・トイレットペ[...]
2023年08月21日 コラム
サフ(SAF=持続可能な航空燃料)という柔らかな語感もあって、緩やかな策で航空業界に働きかけるのかと思っていた[...]