2022年6月11日 PJコラム 

【コラム】梅雨に想うビニール傘

PJコラム

 紫陽花の青紫色が鮮やかになってきたなぁと思った数日後、東京が梅雨入りした。その日も朝から霧雨。最寄り駅に向かう途中、道端に半開きのビニール傘が放置されていた。傘の国内年間消費量は推計で1億3000万本程度(日本洋傘振興協議会)。そのうちビニール傘(ビニ傘)は、大体の推測で6000~8000万本といわれる。PEなどで作られるこのビニ傘、安価で購入しやすいこともあり、急な雨の時には良く売れて、そして捨てられたり、放置されたりすることも多いと、度々報道されている。ビニ傘が「使い捨て傘」といわれる所以だ。

 ビニ傘の大半は輸入品である。そこで日本洋傘振興協議会会員会社のほとんどは生地の傘を製造販売している。同会員のサエラ(東京都)は、壊れにくく、万が一壊れても部材を取り替えられるオールプラスチック傘を販売している。同協議会では、従来にも増して品質の良い傘を作り、長く使ってもらえるようにすることに重きを置きながらも、サステナビリティの観点からの製品のあり方などを検討してきた。しかし、傘業界だけで循環型のリサイクルスキームをつくるのはハードルが高いという。

 ビニ傘はものによって材質が異なり、親骨に使われるスチールとプラスチック部分の分別も手間がかかるため、リサイクルしずらい。自治体によって可燃ごみまたは不燃ごみと分別区分も異なっている。傘のシェアリングサービスなど新たな仕組みが生まれてはいるが、年間6000万本以上の使用済みビニ傘の循環はどう進めるべきか。紙ストローを提供するカフェで、アイス珈琲を啜りつつ想う。

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