人類の歴史は戦争の歴史でもある。有史以来、常にどこかで戦争が行われてきた。国家間の戦争でなくても、内戦や民族・宗教的な対立、侵略等は至るところで行われてきたわけだ。白人至上主義は、未開の土地を侵略・占領して植民地化することで、資源や農作物、生産物、そしてタダ同然の奴隷を労働力として使うことが出来た。19世紀以降、欧州列強と言われた国々は、他の追随を許さない近代兵器と軍事力を持ち合わせ、欧州以外の全てが植民地のターゲットになった。
しかし、大戦後に世界植民地化計画のビジネスモデルが崩壊したことで、欧州は列強でなくなった。相対的に人口ボリュームが少ない欧州では、戦後は元植民地やそれ以外の国からも移民を受け入れることで、労働力にしてきた。特に土木作業、港湾作業、清掃作業、ごみ収集等の肉体労働系やエッセンシャルワーカーの多くは、今でも移民が担っている。いくら差別をなくそう、多様性を受け入れようと言っていても、では白人自らがエッセンシャルワーカーの仕事をするかというと、「それは移民や低所得者がやる仕事」と言い切ってしまうのが白人社会の本質である。
スウェーデンのストックホルムを訪問した時、欧州屈指のごみ発電施設や、生ごみを全ての家庭から回収して堆肥化する施設、街中の随所に設置している資源物の集積所を見学し、環境大国の先進性に圧倒された。一方でストックホルムの街中を早朝散歩していると、驚くほどの行列が随所で出来ている。移民や職に就けない者へのいわゆる炊き出しで、多いところでは100人以上が並んでいた。日本では災害といった非常時に目にすることはあっても、日常的にそれも首都の街中の至るところで目撃するようなことはない。欧州では、このような光景は日常茶飯事だという。だが彼ら彼女らに長期間、タダ飯を食わす訳ではない。炊き出しをしながら職のあっせんを行い、それを労働力に代えていくのだ。欧州の光と影を見た。
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