
これからの廃プラのリサイクル手法は、ブランドオーナーの意向で決まる。ブランドオーナーとは、消費財や食品のメーカーなど、圧倒的な知名度をもった商品を製造・販売している企業のことである。例えば、PETボトルのリサイクルは、サントリーなど飲料メーカーが再生PETボトルを使っていくとコミットメントを発表してから一変。ここ数年でボトルtoボトルの流れが加速した。2020年度でその比率は15.7%だが、全清飲が2030年に50%の目標を掲げており、これに向けて毎年上がっていくに違いない。
使用済タイヤはブリヂストンが再利用するプロジェクトを進めている。従来はバイオマスボイラーで再生可能エネルギーの燃料として使用されていた。これをENEOSとの共同事業で、ケミカルリサイクルの油化技術によって原材料に戻す。プラジャーナル調べで年間40万トンの廃タイヤが製紙業界で使われてきたが、製紙工場はタイヤメーカーのこうした意向で廃タイヤチップが入手しづらくなっている。サーマルリサイクルは石炭代替のメリットはあったが、循環利用できないため、他手法に廃プラ原料を奪われていく可能性がある。
ケミカルリサイクルは、ポストコンシューマー(使用済み)の雑多な廃プラの再生利用に適する。難点はコストの高さだったが、プラスチックの恩恵を受けている以上、少々値段が高くとも再生品を買うーー、そんな意識が消費者の間にも広がりつつある。サントリーは、今年10月からPETボトル飲料を6~20%値上げするが、その理由に「リサイクルPETボトル等サステナビリティ取り組みに対するコスト上昇」を挙げている。再生PETボトルはバージンPET樹脂のボトルよりキロあたり100円前後も高い。ブランドオーナーが商品への価格転嫁が可能とみれば、プラスチックのリサイクル手法にも幅が拡がり、循環利用が付加価値を生む時代になっていく。
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