
▼プラジャーナルの創刊にあたり、ある中国人経営者の方に「ジャーナリズムは一国の総理大臣すら失脚することができる。期待しているから」と激励頂いた。今年4月に逝去した作家・ジャーナリストの立花隆氏のことが念頭にあったのだろう。立花隆は1974年に文藝春秋で連載した「田中角栄研究 その金脈と人脈」で金権政治の内幕を暴いて大きな反響を呼び、連載開始の半月後には総理を退陣に追い込んだ。
▼立花隆は、こうした日本の政治家の裏の顔ともいえる生態を活写したに留まらず、宇宙、生命、臨死体験、物理などの分野で多くの著書を残し、関心領域は驚くほど広かった。「知の巨人」とも称えられる所以である。東京の文京区にある立花事務所の通称、猫ビルには20万冊の蔵書を有し、生涯で3万冊を読み、100冊の書を記したとされる。
▼処女作ともいえるのが、1971年刊「思考の技術」。この中で、「エコシステムにのらないプラスチックの量が年々増大している。(中略)エコシステムの破壊は、その一員である人間にも命とりである。プラスチックによる材料革命だなどといって喜んでいる間に、人間は、自分の手で自分の首を締めているのである」と記す。半世紀を経てなお、この問題は未解決のまま。残された者の使命として、その叡智の軌跡を繋いでいきたい。
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