2月末に韓国を訪問し製紙・古紙の取材の合間に、家庭から排出される廃プラ回収の現場も見学した。首都ソウルには全人口の約2割に当る1000万人ほどが住むが、土地が足りておらず、住居の90%以上が集合住宅である。集合住宅には共有スペースがあり、資源物の集積所が4~5棟に1ヵ所の割合で必ず設けられている。常駐する管理人が分別の指導や溜まってきた資源物の袋やフレコンを交換したり、出荷等の準備をしたりするためにせわしなく働いていた。
▼集合住宅にもよるが、品目としては古紙3種類(段ボール・紙パック・その他)、廃プラ4~5品種(PETボトル、発泡スチロール、容器等硬質プラ、フィルム)、缶、ビン、古着のおよそ10品目。また生ごみ処理機も設置されている。集合住宅で集められた資源物は入札によって売払いが行われ、その販売益をマンションの管理費や集積所の管理人の給与等に充てている。このような各集合住宅の収集システムと管理人による地道な分別の努力が、韓国のリサイクルを支えている。
▼今回アテンドしてもらった韓国系商社の社長は、日本に移住して25年。韓国で生まれ育った期間と、仕事を中心に日本で過ごした期間が同じになったという。大学生の娘が2人おり、彼女たちは生まれも育ちも日本。面白いのが、自分のルーツを探るために、現在韓国に逆留学中だという。若い世代で韓国文化が流行り、韓国への強い憧れがあったことも留学の動機になったそうだ。
▼ソウルで彼女らと合流し、一緒に会食をしたが、次女は「マスコミ志望で将来は記者かジャーナリストになりたい」と話していた。韓国では専門業界誌が珍しく、存在しても企業からの広告費をベースにネット上で無料公開されており、ある種のフリーペーパーやまとめサイトに近い。韓国でも業界の裏表に精通したリサイクル関連の業界紙を創刊したら面白いと盛り上がったが、そもそも韓国では情報にお金を払う文化が根付いていないとも話していた。
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