2023年7月14日 PJコラム 

【コラム】「ピリカ」が変えるごみ拾いの風景

PJコラム

 北太平洋に分布し、日本では北海道が繁殖地のエトピリカは、体全体が黒褐色で、白色の顔の眉部分に金色の飾り羽が付く。さらに橙色の大きな嘴が鮮やかさを一層引き立たせる。「花魁鳥」という別名があるのも納得。この鳥の名「ピリカ」を社名にした㈱ピリカ(東京都、小嶌不二夫代表取締役)のアプリ「ごみ拾いSNSピリカ」は、世界120の国と地域で約200万人に利用されている。SNSピリカは、路上などに落ちているごみ、例えばペットボトルや缶、食品容器など何でも、拾ったごみを写真に撮りアップするという、いたってシンプルなSNS。会員同士「ありがとう」ボタンを押して、その行為を称賛する。

▼コロナ禍に入って、このSNSピリカを有料導入する自治体が増え、今年7月現在で22自治体となった。それまでボランティアによって行われていた地域の清掃活動が、コロナで人が集まり一緒に行動することができなくなり、個人の活動に委ねられるようになったのが要因の一つ。当時「新しい生活様式」が謳われ、地域住民も「新しいごみ拾いの形」として受け入れたようだ。もう一つの要因がDXの浸透。どこにどのようなポイ捨てごみが多いかや、地域の清掃実態などがデータとして残り、それを自治体の清掃事業に活用できるメリットがある。初期費用は数十万円、月額利用料は各自治体の人口によって異なる。

▼同社の小嶌社長は「ごみ拾いは気づかれにくく、広がりにくい活動。なぜなら、ごみは拾うと、その場から無くなってしまうから」と述べている。SNSピリカでは、ごみ拾いの様子を投稿し、その行為を多くの人に知らせる。そして、そのことが見た人の意識を変えるという。SNSピリカを知り、静脈産業の事業活動をより多く、広く世間に知らしめることが必要だと改めて思い至る。

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