【プラニック】
国内最大級の廃プラ再生処理工場が本格稼働へ
年間最大4万トンを受け入れ、「Car to Car」目指す

外観

 ヴェオリア・ジャパン、豊田通商、小島産業の3社が2018年12月に設立したプラスチック再資源化企業・プラニック(静岡県御前崎市、小池忠敏代表取締役)は10月11日、御前崎工場が本格稼働を開始した。同日、報道関係者に同工場を公開した。同工場では主に、自動車及び家電の各リサイクル法に基づき中間処理で粗粉砕された自動車ASRや廃家電プラスチックを仕入れ、年間3万2000トンの再生プラスチックにし販売する計画。まずは今後1年で約2万4000トンを生産し、段階的に増やす。2~3年を目処に自動車ASR(シュレッダーダスト)からの「Car to Car」を目指す。

 プラニックの御前崎工場は、JR掛川駅から車で約40分、御前崎港に程近い場所に位置する。敷地面積 2万3107平方メートル、工場の延べ床面積は公表していない。敷地の入り口から向かって1番奥に仕入れた廃プラをホッパーに投入する①クラッシャーパートの建屋、そこから入り口ゲートに近い事務棟に徐々に近づくように、②比重選別、③静電分離、④コンパウンドと各パートの機械設備が据えられた建屋が一直線に並んでいる。海外製の処理設備を導入したこともあって、コロナ禍で計画が進まず、当初6月の予定だった本格稼働が今月にずれ込んだ。

 仕入れる原料は、主に自動車のASR(Automobile Shredder Residue:自動車破砕残渣)、廃家電プラスチックなど。中間処理によって粗粉砕された状態で受け入れる。粗粉砕プラは大きいものだと10センチ程度。①ホッパーから投入しコンベアで磁選機へ送り、金属を取り除いて、2段階の破砕工程で2センチ程度に破砕する。次の工程が液体による比重選別のため、風力選別機で軽いものを飛ばして取り除く。複数の素材が混ざったミックスプラスチックの場合、比重がそれぞれ異なり、フィルム状のものがあると浮沈速度が遅くなるなど選別精度が落ちるためだ。比重選別での浮沈速度をコントロールするために、硬質のプラスチックを選り分けている。

風力選別機

 比重による選別は、ミックスプラスチックを水などの溶媒に付けて、溶媒の比重よりも大きいプラスチックは沈殿し、比重の小さいプラスチックは浮遊するという性質を利用して選別する方法。同社の比重選別機は円柱を斜め半分に切ったような形状の槽となっており、②比重1より重い液体である重液を使ってミックスプラスチックを「PP(比重0.9~0.91)」、「PE(同0.94以下)」、「PS(同1.04~1.07)とABS(同1.01~1.04)」を選別する。重液分離は他社でも行っているところがあるが、比重を重くするのに塩水を用いることが多いという。同社は塩を用いず、海外から入手した液体(非公表)を使っている。

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