
2000年9月24日、シドニー五輪の女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子。五輪での金メダル獲得は日本陸上界では64年ぶりの快挙だった。そしてその翌月の2000年10月18日、白川英樹教授がノーベル化学賞を受賞した。高橋尚子選手と白川英樹教授は、はとこ姪に当たる。高橋の大祖母と白川の祖父が兄妹という関係だ。時を超えて兄妹の子孫が、同じ年に、五輪の金メダリストとノーベル賞受賞というどちらも人類最高の栄誉を獲得した訳である。
ノーベル化学賞を受賞した日本人は2人目だった。プラスチックは性質的に絶縁体によく利用されているように、昔からの通説は、「電気を通さない」ことだ。しかしその常識を打ち破り、導電性高分子を発見して研究を進めたのが白川教授だった。
通常は電気を通すことのないプラスチックに、ある種の不純物を加えることによって、電気を通すようになる性質を発見した。氏の発見によって、導電性高分子という新たな化学分野が確立した。これがどれだけ優れた発見・研究であったかは、この発見とその後の研究を見れば分かる。もし導電性高分子がなければ、iPhoneやiPadのようなタブレット型モバイルの世界的な普及はなかったとさえ言われている。
電気を通すプラスチックの導電性高分子の発見によって、金属とプラスチックの両方の特徴を兼ね備えた新素材が次々と開発された。それによって、薄型化・軽量化・透明化・フレキシブル化・溶解化・ポータブル化等、様々な高スペック化を進展させた。具体的には、スマートフォン等のタッチパネルやリチウムイオン電池の発明に大きく寄与している。
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